療養�� ページ13
『98、99、100・・・ふう。』
「日の舞」の十二の型を繰り返して舞う。一通り基本の鍛錬を終え、Aは一つ息をついた。
2ヶ月も眠って固まっていた身体も、少しずつ動くようになってきたらしい。
目覚めてから少し経つが、Aはまだ蝶屋敷で寝泊まりをしている。
こう長く眠っていては、さすがの星柱といえどすぐには前と同じように戦えない。
屋敷の面々の心配もあり、しばらくはここで機能回復のための鍛錬を行うようことにしたのだ。
少し鍛錬を中断してぼんやりと佇んでいたAは、建物の陰から姿を表した人影に気づいて片手を上げた。
『実弥君。久しぶりだね。』
「よう。調子は戻った・・・んですか？」
親しげに話しかけようとして、照れたように敬語を付け加える実弥。
何度会ったても、敬語を話す癖はなかなか抜けないらしい。
目を覚まして以降、実弥は頻繫に蝶屋敷まで見舞いに来てくれる。
毎日のように手紙をよこし、自身もよく顔を出す義勇は別として、柱の中でも随分とAを機にかけている実弥だ。
もうそろそろ慣れてもいいようなものだが。
代わる代わる見舞いに来る柱たちは、初めはベッドの傍らに座って話すだけだったのが、最近では鍛錬の相手もしてくれている。
リハビリ中とはいえAの稽古の相手ができる隊士は少ない。
本当なら自分のの鍛錬や休息に充てられるはずの時間に付き合わせていることが申し訳なくも、ありがたくもあった。
この前に来た時は屋敷をフル活用した鬼ごっこが繰り広げられ、しのぶを怒らせたものだ。
『だから、敬語じゃなくていいって・・・うん。大分動けるようにはなったかな。』
「そりゃあ良かった。」
それなら、今日は。
そう言って、実弥は自分の分の木刀を出してきた。
「呼吸は使わねぇから、かかってこいよ。」
おお、とAは思わず声を上げる。
ちょうど訓練相手が欲しかったところだ。打ち込み台になってくれるならありがたい。
『じゃあ、遠慮なく。』
Aは手に持った木刀を、スッと中段に構える。
ヒュンッと風を切って実弥の木刀とぶつかる。
カーンと高い音が庭中に響いた。
「やるじゃねぇか。」
様子見の一撃を受け止めて、実弥は木刀を握りなおした。
『まだまだ。』
再び隙のない構えをして、Aはニヤリと笑った。
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ひかる(プロフ) - 明日香さん» ありがとうございます！今書いている義勇さんの小説の方を完結させてからになりそうですが、この作品もちゃんと完結させる予定なので今後ともよろしくお願いします！ (3月19日 23時) (
レス) @page41 id: 463449c621 (このIDを非表示/違反報告)
明日香(プロフ) - 面白いです。先が気になります。時透兄弟好きです。 (3月19日 22時) (レス) id: 0b98448e7e (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - 廣岡唯さん» しのぶさん私も愛してます。 (2023年4月6日 17時) (レス) id: 463449c621 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - ぴさん» わあ、ありがとうございます！そう言ってもらえたので、更新します！ (2023年4月6日 17時) (レス) @page11 id: 463449c621 (このIDを非表示/違反報告)
廣岡唯 - 面白い続きが観たい…しのぶさん愛しているぞ (2022年11月3日 11時) (レス) @page10 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひかる | 作成日時：2022年6月25日 16時
