温泉�� ページ31
『それは、よかったです。ありがとうございます。』
「また、いつでもおいで。」
そう言われて、Aはその部屋を退出した。
宿の広間では、Aと同じ浴衣を着た天元が寝そべってお茶を飲んでいた。
「おぉ、早かったな。」
軽く片手を挙げた天元の隣に腰を下ろして、Aは尋ねる。
『三人は？』
「部屋に戻ったわ。」
なら私も部屋に戻ろうか・・・
腰を上げかけたAを、天元が引き留めた。
「お茶でも飲んで行けよ。そこの急須の横にもう一個あるだろ。」
何が？と聞くまでもなく、湯飲みが見つかった。
『あぁ、これ私用？』
逆さまにして置かれていた湯飲みを反対向きにして、トポポ・・・と急須から熱い緑茶を注ぐ。
温かくなった湯飲みを両手で包んでふうふうとしているAに、天元が話しかけた。
「どうだった、刀。」
『問題ないって。』
「そうか。」
やっぱすげぇなぁ。
起き上がってきた天元が言う。
『なんだよ急に。気持ち悪い。』
急にしおらしくなりすぎではないのか・・・。
何か命の危機を感じるようなことでもあったのだろうか。
そんな風に、Aは訝った。
「素直に受け取れよ。俺が褒めってやってんのによ。」
ふくれっ面になった天元に、Aは少しほっとした。
やはり、さっきのは勘違いだったのだろうか。
これまでと同じような、ガキみたいな天元だ。
そう、Aは微笑する。
その安心も、長くは続かなかった。
「この間の任務でな・・・ほら、刃毀れした時の。ヘマして、死ぬかもしれないと思った時があってよ。」
『そっか。』
まぁ、鬼殺隊に居ればそんなこともあるだろう。
Aは自分を納得させようとした。
「その時、お前の顔が浮かんだ。」
はぁ？
と、Aは言った。
死にかけた時に天元が思い浮かべるのは、三人の嫁というのが礼儀だろう。
自分を思い浮かべられても、誰が得するのだ。
そんなAを気にせず、天元は続ける。
「俺の命はお前が大事にしてくれんだろ？話が違ぇじゃねぇかってな。」
Aは納得した。
天元が覚えていたとは意外だ。
Aの心配など歯牙にもかけていないかと思っていた。
今回の滞在で、天元のイメージがどんどん崩れていく。
いい奴だということは分かっていたが、思っていたよりももっといい奴だったのだ。
少し天元を見くびっていた。
『舐めんじゃねぇよ。お前がその程度でやられるもんか。生き延びるってわかってた。』
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ひかる(プロフ) - ちーさん» ありがとうございます！励みになります。 (2022年6月2日 18時) (
レス) id: 97f5eb0e61 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - ooooさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2022年6月2日 18時) (レス) @page36 id: 97f5eb0e61 (このIDを非表示/違反報告)
oooo - え！！最高すぎます！！これからも頑張ってください！！ (2022年5月29日 10時) (レス) id: 79b285b7ae (このIDを非表示/違反報告)
ちー - ヤバすぎマジで好き！続きまってます！ (2022年5月23日 23時) (レス) @page20 id: 260906d624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひかる | 作成日時：2022年5月15日 10時
