温泉�� ページ29
「天元様から、よく聞いていますから。」
微笑んで、雛鶴が答える。
三人の中ではAと最も年が近く、さっきから一番よく話していた子だった。
「そうですよ〜。すごい良い奴が柱になったって、天元様喜んでました。」
まきをの手から解放された須磨が、満面の笑みで片手を挙げた。
『え、宇随、そんなこと言ってたんだ。』
そっか。
と、Aは我知らず微笑んだ。
天元のことはいい友達だと思っているが、天元もそう思ってくれていたのか。
柱としても鬼殺隊隊士としても、天元の方が先輩だ。
それなのにA先輩面をしてしまうことが多く、むしろ鬱陶しがられているのではないかと心配していた。
嫌われていなかったとわかって、とにかく一安心。
そんな心地で、Aは湯の中で体を伸ばす。
「かわいいっ素敵っ。その表情、もう一回やってください！」
そんな須磨の言葉に、Aは戸惑う。
「Aさんが困ってるでしょうが！」
またもや言い争いを始める二人を背後に、雛鶴がAに説明した。
「今の微笑み、すごく素敵でしたよ。自然なAさんって感じで・・・私も、もう一度見たいです。」
そんなに素敵だっただろうか。
Aは思いを巡らせる。
特にそんなことをした覚えはないのだが・・・。
『ふふっ、ありがとう。』
褒められるのは嬉しいものだ。
友人に向けるような笑みを浮かべて、Aはそう言った。
温泉から上がって、Aは着物を着る。
いつもの隊服ではなく、里で用意してくれた浴衣だ。
「わ〜寒い寒い。」
須磨はそう言いながら、温泉に一番近いところで慌てて袖に腕を通していた。
冬が近づいてきた山の中では、温泉上がりの体に寒さが染みる。
(久しぶりだから、なんだか変な感じだなぁ。)
昼間から浴衣を着ることに若干の違和感を覚えつつ、お腹の前で細めの帯を締める。
とはいえ、昼間中この浴衣を着ていることもないだろう。
後でもう一度隊服に着替えて、天元とでも鍛錬をしよう。
そんなことを考えながら、脱衣所を出る。
カラカラと引き戸を開けたAは、声を上げて驚いた。
『わぁっ、すみません。大丈夫ですか・・・』
脱衣所の前に立っていた少年は、よく見ると狭霧山にいたAに刀を持って来てくれた少年だった。
『奎君、久しぶりだね！』
あの頃はAのお腹くらいまでしかなかったのに、今はもう胸くらいまでの背丈になっている。
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ひかる(プロフ) - ちーさん» ありがとうございます！励みになります。 (2022年6月2日 18時) (
レス) id: 97f5eb0e61 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - ooooさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2022年6月2日 18時) (レス) @page36 id: 97f5eb0e61 (このIDを非表示/違反報告)
oooo - え！！最高すぎます！！これからも頑張ってください！！ (2022年5月29日 10時) (レス) id: 79b285b7ae (このIDを非表示/違反報告)
ちー - ヤバすぎマジで好き！続きまってます！ (2022年5月23日 23時) (レス) @page20 id: 260906d624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひかる | 作成日時：2022年5月15日 10時
