胡蝶しのぶ�� ページ17
『びっくりしたよ。舐めてちゃダメだね。』
カンッカンッ
と、真菰とカナエの木刀がぶつかる音が聞こえてくる。
二人の実力はほぼ互角。
それぞれが無駄のない、美しい型を操っていた。
その二人の手合わせが見えるように庭の石に座って、Aは口を開いた。
しのぶも隣に座っている。
『「蟲の呼吸」はしのぶちゃんが生み出したの？』
黙り込んでいるしのぶに、Aはさらに話しかけた。
「・・・はい。蟲の呼吸は、力のない私が唯一勝機を見いだせる方法です。一撃で破られてしまいましたが。」
『すごいね。しのぶちゃんに合ってる。毒を打ち込むにもぴったりだし。』
無表情だったしのぶは顔を元に戻し、Aの方を向いた。
Aが毒のことを知っていることに驚いたらしい。
目を丸くしている。
『真菰ちゃんから聞いた。素質の問題で諦めないのがえらいなって思ったんだ。』
「そんなことありませんっ」
いつになく激しい口調で、しのぶは否定する。
『そっか。どうして？』
そんなしのぶに驚いた様子も見せず、Aは尋ねた。
「私は鬼を殺せる毒を作ったんじゃありません。まだ未完成で、弱い鬼しか倒せないんです。」
私は鬼殺の剣士になれていない。
そう、しのぶは付け加える。
『鬼殺隊の隊士なんだから、しのぶちゃんも鬼殺の剣士だよ？』
しのぶは優れた剣士だ。
Aはそう確信していた。
あの身のこなしは、一朝一夕に身につくものではない。
「蟲の呼吸」を生み出すにも、相当の努力が必要だったはずだ。
今はまだ未完成のようだが、呼吸が完成すれば伸びしろは大きいだろう。
Aはそう予想する。
「いえ・・・私は、自分で鬼の頸を斬ったことがありません。覚悟していたことですが、鬼にとどめを刺すのは姉さんや合同任務の相手に任せなければいけない。それがどうにも、悔しい。」
そう語るしのぶには悲哀や無念さは見受けられず、むしろ怒りに燃えているように思えた。
それでいい。
そう、Aは思う。
悲しんでも何をしても、身長がのびる訳ではない。
それよりもどうすれば他の隊士を出し抜けるのか、考えて行動する方がずっと有意義だ。
しのぶの毒は現段階では、鬼を弱らせることしかできないらしい。
それが原因で、他の隊士に軽んじられることもあったのだろう。
きっとその度に、しのぶは思ったはずだ。
「お前の身長を自分が持っていれば、自分はお前より強かった。」
と。
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ひかる(プロフ) - ちーさん» ありがとうございます！励みになります。 (2022年6月2日 18時) (
レス) id: 97f5eb0e61 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - ooooさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2022年6月2日 18時) (レス) @page36 id: 97f5eb0e61 (このIDを非表示/違反報告)
oooo - え！！最高すぎます！！これからも頑張ってください！！ (2022年5月29日 10時) (レス) id: 79b285b7ae (このIDを非表示/違反報告)
ちー - ヤバすぎマジで好き！続きまってます！ (2022年5月23日 23時) (レス) @page20 id: 260906d624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひかる | 作成日時：2022年5月15日 10時
