胡蝶しのぶ�� ページ11
『ふふっ』
しのぶがカナエを𠮟る声が聞こえてくる。
二人の家の前に立って、Aは口許を抑えて微笑んだ。
「私は栗きんとんにしようかな。Aちゃんは？」
『私はあんみつ。』
「そればっかり。もう季節外れだよ〜？」
秋も深まってきたある日。
Aと真菰は街の有名な甘味処に来ていた。
二人揃って非番になった、珍しい日なのだ。
「ご注文はお決まりですか？」
甘味処の看板娘が、愛想よく笑いかけてくる。
「栗きんとんとあんみつをお願いします。」
出会った頃よりも少し大人びた真菰が、緑色の目を向けて言った。
看板娘に負けない可愛らしさだ、とAは思う。
贔屓目なしに見ても、真菰はとてもかわいらしい女の子だ。
(そういえば、カナエちゃんはどうしているかな。)
真菰からの繋がりで、Aは夏の終わりごろの任務で出会った彼女に思いを馳せる。
あの子も綺麗な子だった。
最後にちらりと見た妹とは仲が良いのだろうか。
あの「花の呼吸」は見事だった。
あの時の状態であの技を出せるカナエは、優れた剣士なのだろう。
機会があればまた会いたいものだ・・・。
看板娘の去っていった方をしばらくぼんやり眺めていた真菰が、宝物を見つけたときのように目を見開いた。
「カナエちゃんだ。」
パッと立ち上がった真菰に、店内の視線が集まる。
そんな周りの様子を意に介さず、真菰は通りまで出た。
真菰の行く先を目で追っていたAも、ようやく彼女を見つける。
藤色の瞳の彼女は確かに目立っているのだが、それにしてもこの人ごみの中で良く見つけられたものだ。
さすがは仲の良い同期だな。
Aは感心した。
真菰とカナエはそのまま、通りの端でしばらく話していた。
真菰が何か言って、カナエが首を振る。
そんな光景が何度か繰り返された後、どうやら話がついたらしい。
二人は手をつないで、連れ立ってこちらにやって来た。
「しのぶちゃんに頼まれた薬の買い付けに来てたんだって。」
Aの向かいに腰を下ろして、真菰は言う。
「どうぞ」と、カナエに隣に座るように示した。
「失礼します。」
そう恐縮しながら、カナエは真菰の隣に座布団に正座する。
畳の上に置かれた硬めの座布団は、短時間だけなら座り心地がいい。
『そっか。しのぶちゃんの。元気だった？』
噂をすれば影というが、さっき考えていたことが現実になった。
Aはそう思った。
「はい。おかげさまで。」
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ひかる(プロフ) - ちーさん» ありがとうございます！励みになります。 (2022年6月2日 18時) (
レス) id: 97f5eb0e61 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - ooooさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2022年6月2日 18時) (レス) @page36 id: 97f5eb0e61 (このIDを非表示/違反報告)
oooo - え！！最高すぎます！！これからも頑張ってください！！ (2022年5月29日 10時) (レス) id: 79b285b7ae (このIDを非表示/違反報告)
ちー - ヤバすぎマジで好き！続きまってます！ (2022年5月23日 23時) (レス) @page20 id: 260906d624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひかる | 作成日時：2022年5月15日 10時
