赤い糸 ページ4
白い部屋に私は立っている。そこで色づいているのは自分とベットに横たわり、寝息をたてている龍之介だけだ。
青白く、細い体に貼られたガーゼにそっと触れると痛かったのか龍之介の眉間に皺がよって、また穏やかな顔に戻る。私が変わってあげられたらいいのに。
『龍之介の馬鹿…いや、俺のせいか』
彼を抱えた織田作之助の話によると、彼は死ぬところだったらしい。ジイドと直接対決をして。
原作通りに進むことで龍之介がボロボロになることも、それでもちゃんと生きて帰ってくることも全部分かっていた。
原作通りに進めれば死ぬことは無い。頭では理解している。でも彼が傷つくことが苦しくてしょうがない。
『ごめんな…』
私の、いや
君の為ならば私は誰の命でも、そう自分のものですらも差し出す。
近い将来私たちの仲間になるであろう樋口さんもこんな想いを抱くのだろうか。それは無いなと自分の問いを即座に否定する。
樋口さんが望むのは同じ赤い糸でも、リボンのような優しくて彩やかなもの。
私の赤い糸は、きっと血に濡れた鎖なのだろう。
それは重くて、頑丈で、歪んだものだ。
あまりの重さに正直自分でも引く。
龍之介には伝えられないなと苦笑いを零した。
龍之介の頬を撫でながら思案しているとコンコンコン、と静かな病室に控えめなノックの音が響く。
「失礼します、
『嗚呼、今行く』
柔らかな彼の髪を一度だけ撫でて、林太郎さんの元へと足を進める。
黒い時代の終末が、もうそこまで迫っていた。
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ツッキー本体は眼鏡(プロフ) - 何度見ても面白い作品です。とても続きが気になります。 (2020年9月24日 11時) (レス) id: ada14fc3d5 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ - 面白かったです。1年後を楽しみにしてます。 (2020年4月8日 21時) (レス) id: 40dba85962 (このIDを非表示/違反報告)
猫ずきん(プロフ) - この作品本当に好きです!更新ありがとうございます!!次も気長に待ちます!! (2020年3月16日 19時) (レス) id: 843a33d8b4 (このIDを非表示/違反報告)
ツッキー本体は眼鏡(プロフ) - 続き待ってました!嬉しい! (2019年7月19日 0時) (レス) id: ada14fc3d5 (このIDを非表示/違反報告)
伊月(プロフ) - ものすごく面白いです!!続きが待ち遠しい…(`・ω・´) (2019年6月10日 20時) (レス) id: 97ec670de3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜幸 | 作成日時:2019年2月16日 20時