腐女子がチート転生したので推しのモンペになりたいと思います。【男主？】

試されているのか、否か ページ27

私は腹の底から湧き上がってくる苛立ちを抑えて表情筋をフル活用して笑顔を保ったまま彼に話をした。

『俺はポートマフィアの首領様の主治医である林太郎さんの助手をしています、堀辰雄と言います。
先程は申し訳ありませんでした。不備はございませんか？
これでも医師の助手ですので、応急処置くらいは施せますが…』

完璧な笑顔を貼り付けノンブレスで言う。
あ、眉間に皺よったざまあみろ。

「へぇ、あの人(･･･)の助手なんだ。さぞ優秀なんだろうね、君」
『そう言っていただけると恐縮です』

にこにこにこにこ、お互い笑顔をキープしたまま一歩も引く気のない言葉の応酬。なんだろう、コイツ相手だとよく口が回る。

「君は助手ならあの人が何を考えているか、知っているかい？」
『俺には分かりかねます。他人の心は誰にも理解できませぬ故。』
「そう、可笑しな事を聞いたね」
『いいえ、お気になさらず』

きっと、林太郎さんがポートマフィア(此処)をぶっ壊そうとしている事に彼は気づいている。勿論私もだ。それを止める？とんでもない。

『そろそろ時間ですので、失礼致します』
「いや、時間を取ってしまって悪かったね」

もう一度にっこりと笑って相手に向き直る。今私ができる最高の笑顔でだ。

私は、林太郎さんがポートマフィアの首領になるからここにいるんだ。

まだ見ぬ愛しい彼のために。

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