夜に恋う３ (ページ49)

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『お待たせ、ウルド』

ソファーに座っていたウルドに声をかければ、彼はすぐに振り向いた。

『どうかな？』

くるり、とターンしてみる私に近付き、頬に触れてくる。

「よく似合っている」

瞳を細めて私を見下ろすウルドに微笑む。
そんな彼の瞳に映るのは新しい服装を身に纏った私。
今回の服装は、袖がふんわりとした七分袖の白シャツに黒いハイウエストのタイトスカート…に見せかけたショート丈のパンツ。首元には前と同じくクロスタイを着けてあり、腕には黒色のコートを持っている。
以前の服よりもかなり系統がウルドの服装と似ているのだが、間違いなく狙っただろう。

『うん。やっぱりスカートよりもパンツスタイルの方がいいね』

「あの服は駄目だ。おまえの雰囲気に合っていない」

『私もそう思う。スカートだしビスチェだし』

あれは私に対する嫌がらせにしか思えない。悪意を感じるよ。

『じゃあ戻ろうか。皆待ってるしね』

「ああ」

クルルがいる部屋まで戻り、彼女を連れ出す。
私を見た瞬間、呆れたような顔をしていたのは見間違いではないだろう。察するのが早い。
外で待っていたレスト達とも合流し、先程の場所まで向かう。

「A様、僕があげた服脱いじゃったんですか～？悲しいなぁ」

『どれだけあの服が嫌だったか』

「えぇー。でもでも、A様の美しさと色っぽさを際立たせるにはピッタリだと思ったんですよ」

『安心しなよ。そんなものは捨ててるからさ』

「勿体ないなぁ。せっかくA様のプロポーシ…」

ードゴッ

「ぐはっ！？」

「煩わしい。おまえがAを語るな。汚れる」

フェリドの言葉を不快に感じたウルドが、彼の腹部に足を埋めた。その時にボキッという音が聞こえたので骨は折れただろう。
全員が蔑んだような視線でフェリドを見下ろし、レストも更に雑にフェリドを引きずるようなる。

ーカッ

戻って来た私たちに視線が集中する。
こちらを見る優達を見ると、ミカがクルルとアイコンタクトを取っていた。あまり見ない方がいいよ、君たち。

「あの～レスト・カー様」

後ろでフェリドがレストに声をかける。

「一応言っておきますけど、私、裏切ってないですよ？」

「おまえは第二位始祖リーグ・スタフォードの眷属だ。関わりないはずがない」

「ではレスト・カー様は第一位始祖といまだ繋がりがあると？」

「…」

それにレストは沈黙した。
第一位始祖は吸血鬼全員を捨てている。関わりなどないのだ。