夜に恋う３ (ページ5)

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「グレン！！」

「おっと。殺しちゃだめだった。君からは他の人間が持ってない情報を貰うんだよ、指揮官君」

軽い口調で言うクローリーに深夜が銃口を向けるのを見ていたが、ふと何かを感じて地面に視線を向けた。

「俺はもうだめだ！！おまえが指揮をとって任務を続けろ！！」

「そうそう、早く行きなよ。僕の気が変わらないうちに」

「行け深夜！！」

声が聞こえる。

＿＿＿＿ああ、来たな。

そう思うと同時に床が割れた。そこから現れたのは、

「うぉぉぉぉぉぉお！！」

「ゆ、優！？」

百夜優一郎だった。
彼の姿に瞳を細める。優が振り翳した刀はクローリーに受け止められた。
空中で身動きが取れない優に向かってクローリーが剣を凪げば、下からもう一人の青年が現れ、ギリギリでそれを止める。

「行け天字竜！！」

「おっとっと。いっぱい来た」

更にもう一人、女の子が牽制してきた。

「開け！！阿朱羅観音！！」

優の周りに複数の刀が浮かぶ。それはクローリーに向かっていった。…が。

「クローリー様！！」

それらをチェスとホーンがそれぞれの武器で叩き落とす。
まぁ、ただの真っ直ぐな攻撃だ。彼女たちが見切れないはずがない。

「失敗です！！一度態勢を…！！」

あの時の少女が叫ぶ。
なるほど。彼女がこのグループのリーダーかな。
態勢を立て直そうとする彼女らに向かってチェス達が襲い掛かった。

「天字竜！！盾になれ！！」

金髪の女の子が再び牽制するように盾を出すも、やはりそれは弱い。あっさりとチェス達はそれを斬り裂いてしまう。

「バカ野郎！！何しにきた！？命令を守れ！！即時撤退…」

「はい、少し黙って～」

叫ぶグレンを殴って黙らせるクローリーに視線を向ける。

『クローリー。あまり手荒に扱わないでくれるかな』

「ちょっと五月蝿くて」

悪びれることなく言ったそれに肩を竦めて小さく息を吐く。

「君、新宿で暴走してた子でしょ～？…ちょっと妙な展開になってきちゃったな」

『軍属ならいてもおかしくないとは思うけど…』

「まぁそうですけど」

だが、正直ここには来て欲しくなかったな。あまり表立って優を庇うわけにもいかないし。さて、どうするかな。
グレンを救うか否かで言い争っている優達を見詰める。
しかし、ヘリの音を耳が拾った。
これはいよいよ、面倒なことになってくるかもしれない。京都の吸血鬼がここに来れば、彼等は終わりだ。
拘束されるだけでは済まない可能性が高いから。