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「そーしてー。こちらにいらっしゃるのが…」
クローリーの言葉を見事に無視したフェリドは私の横に立つ。
「A・セオフィエル様。階級は…」
『え、階級言ったらその子達引いちゃうと思うんだけど』
「言わなかったら言わなかったで気になると思いますよ〜？それにミカ君は知ってるじゃないですか。ね？ミカ君？」
深刻そうな表情で私を見るミカを振り返る。
ああ、瞳が赤い。完全なる吸血鬼だ。誰の血を飲んだのだろう…やっぱり優かな。彼の透き通った青空の瞳は好きだったんだけど。少し勿体ないな。
「彼女は……、…第二位始祖だ」
絞り出すようなミカの言葉に人間の子供達の空気が凍り付いた。
怖れるような、警戒するような表情。
『そうなんだけど、怖がらなくていいよ』
「第二位始祖の中でもトップですよねー？」
『さぁね。そもそも第二位同士が争うこともなかったし』
「そういえば第二位始祖様は皆様仲良かったですしねぇ」
『仲良いというかなんというか』
ウルドとリーグが仲良かったかというより信頼してたかな。まぁでも、ウルドにとっては特別な存在ではあるだろう。彼等は人間時代からの付き合いだしね。リーグは私よりもウルドとの付き合いは長かった。
『まぁ私と他は普通に仲良いかな？ウルドは別枠だけどね』
「伴侶ですしねぇ」
「「「「「え？」」」」」
凍り付く空気。
『旦那さんだものねぇ』
「「「「「は⁉」」」」」
あはは、驚いてる驚いてる。
泣き黒子のある男の子が信じられないものを見るような表情で口を開く。
…あれ、この子どこかで見たな。
「有り得ない…吸血鬼にそんな感情はないはずだ」
『どうしてそう言い切れるの？君は吸血鬼の何を知ってる？』
と言えば彼は言葉に詰まった。
ちょっと意地悪だったかな。
『…まぁ確かに、殆どの吸血鬼はその感情が薄れてしまってるけどね。でも、ミカだって優に対する愛情を持ってるでしょう？』
「それは、」
『私は彼を愛してる。そして彼も私を愛している。それは事実だよ。もしそんな感情が無かったらとっくの昔に私達は別々の道を歩んでるだろうしさ』
「…」
『伊達に彼と何千年も一緒にいるわけじゃない。…彼がくれたこの気持ちは本物だ』
と、言えば彼は口を噤んだ。
『でも所詮、自分の気持ちなんてその人にしか分からないものだ。ましてや人間に、吸血鬼の気持ちなんて分からないし分かろうとも思わないでしょう？だって私達は敵だものね』
「…」
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作者名：レイ | 作成日時：2020年8月4日 17時
