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『…ああ。囲まれた』
四方八方から鬼呪の武器が飛んでいる。普通なら避けられない。
だがAさんに焦るような色は見られなかった。
寧ろ彼女は緩く口角を上げる。
『♪』
ーガキキキキンッ
「な、」
攻撃全てを剣で斬り落とす。
不敵な笑みと共に繰り出される剣技、嫋やかな身体捌き。舞い踊る髪。その姿はまるで、舞を舞っているように優雅で美しく蟲惑的だった。
埃すら被らずに音もなく地面に降り立つAさんはつまらなそうにする。
『この程度か。ああ、つまらないな。もう少し楽しめるかと思ったのだけど』
気怠げに、心底つまらなそうに呟く。無防備なその背中に暮人中将が刀を振り翳す。
しかしそれも見ることなく剣で受け止めると、刀身で滑らすようにして流して彼に切っ先を向ける。
「暮人様！」
『なんだまだ出てくるのか』
それを暮人中将の従者である三宮葵が止めた。それに瞳を細めると、Aさんは腕を振り上げる。
ードォォォォォォンッ
それは彼等の横の地面を抉り、建物を何棟も破壊した。
その威力の凄まじさが、彼女が高位の吸血鬼であると証明している。
そして一瞬で暮人中将の懐に入り込み、切っ先を首に向けた。
「暮人様！！」
＿＿＿_死ぬ。
誰もがそう思った。しかし、
『もう帰っていいかな。君たちの命に興味なんてないんだ』
それは暮人中将の頸を斬り裂くことなくスレスレで止められる。
それを見た彼は目の前の強者を睨み付けた。
「…何故殺さない」
『死にたいなら殺してあげるよ。でも、違うんでしょう？』
強者であるが故の余裕。
しかし、そこに私たち人間を見下すような色は見えなかった。ただ純粋に、単純に、力の差故に見逃そうとしている。
「…は。ずいぶん余裕だな。俺など、いつでも殺せると？」
『まぁそうだね。君たちを殺すことなんてとても簡単だけれど』
と、言って笑う。
『でもせっかくの命だ。せいぜい生きなよ』
剣を鞘に戻して無防備に背中を向けてゆったりと歩み出す。暮人中将は手を出さない。出したところで敵わないと分かっているからだ。ここにいる全員でも敵うかどうか分からないレベルの強さを持っている。
「おい」
『うん？』
しかし、暮人中将はAさんの背中に声をかける。すると彼女は律儀に立ち止まって振り返った。
「…おまえ、名と階級はなんだ」
『なに？ブラックリストに入れようとしてるの？なら怖いから言わないでおこうかなぁ』
と、悪戯げに笑う。
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レイ(プロフ) - 露亞さん» 私の妄想満載の小説を素晴らしいだなんて…！ありがとうございます！のんびり更新していきますので、また良かったら読んでみてください！ (2020年6月15日 18時) (
レス) id: e8675e311e (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - ウルド様ァァァあ”あ”ウルド様！！！素晴らしい小説ですね！！！更新頑張ってください！！！！！ (2020年6月15日 18時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイ | 作成日時：2020年6月6日 21時
