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「死ネ」
振り翳される腕に、殺される…そう覚悟し、ぎゅっと目を瞑ってすぐに来るであろう衝撃に備えた。
しかし、
『楽しそうだね』
涼やかな声が、すぐ側から聞こえた。
そっと目蓋を上げれば、そこには一人の吸血鬼が悠然と、優雅に佇んでいた。
青みがかった黒髪を高い位置で無造作に一つに束ね、真紅…いや、深紅と言った方が正しいかもしれない。その色彩の瞳を持った吸血鬼が僅かな笑みを浮かべている。
顔立ちは中性的で、若い女性にも見えるし、あどけなさを残した青年にも見えるが身体付きからして女性だろう。
彼女は優さんの腕を掴み、止めている。
「あ、貴女は…」
彼女は私をチラリと見て、銀髪の吸血鬼に視線を向けた。
『…それで？これはいったいどういうことなのかな。フェリド・バートリー』
それは女性にしては低く、男性にしては高い、中性的な声音だが耳に心地よく残る声だった。
「いやぁ〜僕も分からなくて〜」
『へぇ』
と、聞いておきながら興味なさそうに返す。
その間も優さんは彼女の腕を振り払おうとしているが、まるで意味を為していないようだった。ビクともしていない。
吸血鬼としては小柄な彼女だが、強いのだろう。この場で指揮を執っていた銀髪の吸血鬼ですら、彼女に対して腰を低くしている。
つまり、ここで一番高位の吸血鬼だ。
「ッ邪魔ヲスルナ吸血鬼！」
『邪魔なのは君だよ』
ミシッと優さんの骨が軋む音が聞こえた。痛むのか、彼は顔を歪めると彼女を睨み付ける。
『人間に封じられて、いいように実験も受けてるの？はは。落ちぶれたね』
「罪人ハ皆殺シダ」
『出来てないじゃない。それに何故、人間を殺したがる？』
「欲深イ人間ハ殺サナケレバナラナイ！」
『欲、ねぇ…でもそれが人間だ。恐ろしいまでの欲望を持つ人間だからこそ、生きようともがける。生に煌めく。死に抗う。私たち吸血鬼にはもうない感情だ』
「戯言ヲ！」
優さんは彼女の腕を振り解き、刀を向ける。それを見た彼女は緩慢な動作で腰に下げていた繊細な造りの細身の直剣を抜き、無造作に振り上げた。
『遅いよ』
ーギィィィィン
けたたましい音を立てて優さんの剣が飛んでいく。
彼女はそれに気を取られた彼の首を掴んで持ち上げると嘲笑を浮かべた。
『弱いな。人間に封じられているとは言え、ここまで弱いとはね。笑っちゃう』
「グッ…離セ…！」
『興醒めだ。おまえはもう、寝ろ』
そう言って彼女は優さんの首筋に噛み付いた。
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レイ(プロフ) - 露亞さん» 私の妄想満載の小説を素晴らしいだなんて…！ありがとうございます！のんびり更新していきますので、また良かったら読んでみてください！ (2020年6月15日 18時) (
レス) id: e8675e311e (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - ウルド様ァァァあ”あ”ウルド様！！！素晴らしい小説ですね！！！更新頑張ってください！！！！！ (2020年6月15日 18時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイ | 作成日時：2020年6月6日 21時
