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『…なぁんて、こともあったなぁ』


と、あの日のことを思い出してひとりごちる。
すると、


「なぁに。急に」


桃色のたっぷりとした長い髪をツーサイドアップにして、吊り目がちな大きな真紅の瞳を持った可憐な少女ークルル・ツェペシ第三位始祖が私を見た。
見た目は可愛らしい少女だが第三位ということもあり実力は五本の指に入る、かなりの強者だ。


『…いや、日本に来る前のことを思い出してた。もう四十年経ったんだね』


カツン、と駒を動かす。
今は暇つぶしにベッドの上に寝転がりながらクルルとチェスをしているのだ。


「ああ…どうせ、ウルドのことだから相当嫌がったんでしょう?」

『はは。どうせって』

「彼のAに対する執着心は異常だもの。貴女が日本に来ると言った日は大変だったんでしょうね」


色々と。
と、意味深に言いながらクルルも駒を進める。
ちらりと私を見上げたその大きな瞳は楽しげに細められていた。それに肩を竦める。


『大変だったよ。部屋に閉じ込められて、拘束されて身体中から血を吸われるし、休む間も無く男女の営みもされるし』

「あは。お盛んね」


そう笑ったクルルを何とも言えない表情で見つめる。


『いや…あれはもう一種の拷問だよ。行き過ぎた快楽は苦痛にもなるからね。しかも、ギリギリまで血を吸われるのを繰り返すしさ。危うくオチかけた』


と、その時のことを思い出して身震いする。
布で覆われて真っ暗な視界。
ごく僅かしか身動きの取れない四肢。
首に嵌められた魔力封じのチョーカー。
血をギリギリまで吸われて極限の状態で与えられる快楽。
異常に良すぎる聴覚が拾う、快楽と飢餓の混じる己の喘ぎ声とウルドの囁き。
異常に良すぎる嗅覚が拾う自分とウルドの体液と、お互いの血臭。
ウルドに触れられ昂ぶる己の敏感な身体。
でも中途半端にしか欲しいものを与えられないもどかしさ。
欠けていく私の理性を揺さぶり、自分の欲しい言葉を言わせようとするウルド。
飢餓と快楽と本能と理性と女と男。
もうぐっちゃぐちゃだった。


『…よく私、日本に来られたよな…』


思わず遠い目になる。
あれはもう本当に経験したくない。
我ながらかなり身体を張って日本にやって来たと思うのだが。
いくら無尽蔵の体力と回復力があるとは言え、限度はあるだろう。その限度を超えて色々とやりまくってきたウルドはもう鬼畜としか言いようがない。

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レイ(プロフ) - 露亞さん» 私の妄想満載の小説を素晴らしいだなんて…!ありがとうございます!のんびり更新していきますので、また良かったら読んでみてください! (2020年6月15日 18時) (レス) id: e8675e311e (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - ウルド様ァァァあ”あ”ウルド様!!!素晴らしい小説ですね!!!更新頑張ってください!!!!! (2020年6月15日 18時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レイ | 作成日時:2020年6月6日 21時

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