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『…』
「何も恐れる必要などない。気後れする必要もない。気を掛ける必要もない。おまえはただ、私の元で穏やかに過ごせばいいんだ」
『…』
それはとても魅惑的で甘い言葉だろう。
「おまえが望むなら…このまま連れ去ってやる」
『…』
「そうしてずっとロシアにいて、私の側に居ていればいい」
それはウルドの望みだ。そしてきっと、私の望みでもある。
でも、
『……とても魅力的なお誘いだけれど…その日はまだかな』
ピタリと撫でる手が止まる。
『凄く凄く、魅力的だと思うよ。ウルドの側にずっと居られることは。君に愛してもらえることは。でも、私はその手をまだ取れない。その時はきっと、全てが終わった後だ』
譲れない。私はこれから起こることに、きっと否応なしに巻き込まれる。
私も組み込まれているのなら、掻き乱してやるのだ。それくらいの仕返しはさせてもらう。
それに、そこにウルドも巻き込まれるのなら黙っていられない。
だから情報を直に得られる日本にいた方が賢いのだ。
『でも私の帰る場所はウルドの側だから。だから不安にならないでよ』
頬に触れているウルドの手に自分の手を重ね、前を向きながら言葉を続ける。
『大好きだから。信頼してるから。信用してるから。愛してるから。…だから、私のことを信じて、待っててよ』
ウルドは黙っている。
『分かるよ。ウルドが不安に思う気持ちも。そんなことに関わってほしくないって思ってることも。でも、ごめん。それは叶えられない』
「…」
『だから、私は約束する。絶対にウルドの元に帰ってくるって。絶対にそれを違えないから。君との約束だけは絶対に守るから』
「…本当にか？」
じ、と私を見つめるウルドに少しだけ顔を向ける。
『私は…君にだけは嘘を吐かないよ』
ウルドと伴侶になると決めた時から、彼にだけは嘘をつかないと決めたし、ついたこともない。冗談くらいは言うが。
私を見つめるウルドは、やがて小さく息を吐く。
「…分かった。おまえが話してくれるまで、待つ」
『ありがとうウルド』
「だが、待っても五年だ。それ以上は待たないし待てない。…あの日、Aを送り出してからもう四十年以上経った。元々期限は五十年だったはず」
『そうだね』
「だから、あと五年だけだ。五年経ったら嫌がっても無理やりロシアに連れ帰る。抵抗しようものなら他の上位始祖も連れて捕獲するからな」
『そうならないようにしないとね』
と苦笑してから、頷いた。
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レイ(プロフ) - 露亞さん» 私の妄想満載の小説を素晴らしいだなんて…！ありがとうございます！のんびり更新していきますので、また良かったら読んでみてください！ (2020年6月15日 18時) (
レス) id: e8675e311e (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - ウルド様ァァァあ”あ”ウルド様！！！素晴らしい小説ですね！！！更新頑張ってください！！！！！ (2020年6月15日 18時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイ | 作成日時：2020年6月6日 21時
