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『…ウルド…』
それがどうしようもなく嬉しくて。愛おしくて。誰かに欲されるということはこんなにも満たされるのかと思う。
『ウルド』
彼の名前を呼ぶと、胸の奥がじわりと温もりを宿す。
ただ名前を呼んだだけなのに、彼が嬉しそうに瞳を細めているのを見て私も微笑んだ。
『君の名前を呼ぶことは…凄く特別なことだね』
「そうか。私も、おまえに名を呼ばれることが好きだ」
『そう？』
「ああ勿論。Aの声で私の名を呼ばれるのと他の誰かに呼ばれることは明らかに違う。おまえが気付いているのかは知らないが、私の名を呼ぶ時に感情が…愛情が宿っている」
『そっか…そうなんだ…』
と、少し視線を逸らして考える。
「A」
ウルドが愛おしげに私の名前を口にする。
名前を呼ばれただけで、まるで真綿に包まれたようなふわふわとした感覚に陥った。ウルドもこんな気持ちなのだろうか？
「A」
私の頬を優しく撫でるウルドの手に擦り寄る。
ああ、そうか。自分では気付かなかったが、私も彼にとても…焦がれていたんだ。
ふ、と笑みを浮かべてウルドの背中に腕を回して引き寄せるようにして床に転がり、戯れるように抱き付く。
「…なんだ。急に甘えただな」
優しい声が頭上から降り注ぐ。
ウルドの胸元に顔を埋めたまま、それに頷いた。
『…自分が思ってた以上にウルドに会いたかったんだなって思って』
「そうか」
と、甘やかな手つきで私の頭を撫でる。その大きな掌が酷く愛おしくて。
『やっぱり…ウルドが会いに来てくれて良かったな』
でなければ私は、こんなに大切なことを思い出せずにいたかもしれない。
『会いに来てくれて、ありがとうウルド』
チュ、とリップ音を鳴らして彼の唇にキスをする。
ウルドが日本まで来てくれなかったら、もしかしたら私は大切なものを失ったしまっていたかもしれない。
「次は、おまえが会いに来てくれるか？」
『そうだね。一年後くらいに行こうかな』
「それでも長いが…まあ、ずっと来ないよりかはマシか」
ウルドの指先が私の目にかかっている髪を退かして額にキスを落とす。
そしてまた私を壊れ物を扱うように抱き締める。
彼の腕の中は、世界で一番心地良くて安心出来る場所だ。
吸血鬼に睡眠なんて必要ないのに目蓋が下りてきてトロンとしてしまう程に無防備になってしまう。
『ウルド』
「なんだ」
『愛してるよ』
「私も…愛している」
重ねられた唇はとても優しくて甘かった。
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レイ(プロフ) - 露亞さん» 私の妄想満載の小説を素晴らしいだなんて…！ありがとうございます！のんびり更新していきますので、また良かったら読んでみてください！ (2020年6月15日 18時) (
レス) id: e8675e311e (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - ウルド様ァァァあ”あ”ウルド様！！！素晴らしい小説ですね！！！更新頑張ってください！！！！！ (2020年6月15日 18時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイ | 作成日時：2020年6月6日 21時
