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『ウルドの血を飲むと満たされるんだ。渇いた喉も、心も』
「そうか」
Aも吸血鬼らしく血への欲求が強い。そして永く生き続けてきたからか、ただ血を飲むだけでは彼女が満たされることがない。それはただの食事でしかないと。決して心が満たされたり渇きが癒えることはないのだと。
…しかし私の血は別らしく、飲むと心が満たされ渇きが癒されると言っていた。その血があまりにも自分への愛おしさで溢れているからと。、それは私をいとも簡単に喜ばせた。
『人間の血を用意しようか』
そう言って立ち上がろうとしたAの腕を掴んで制する。
「いい。側にいろ」
『…うん。分かった』
Aはふわりと笑うと上げかけた腰を下ろして私にぴたりと寄り添い、ずれたシーツを直す。
言葉もなくただ一緒にいるだけだが、呼吸音だけが響くその空間は穏やかで、いまは何も着ていないため素肌で触れ合っているのだがそれも心地良いと感じる。
ちらりとAを見下ろせば、それに気付いた彼女が視線を上げて首を傾げる。
『なに？』
「いや…」
『その割に熱〜い視線を感じたなぁ』
揶揄うように笑うAの腰に回した腕に少し力を込めて、さらに密着させる。
『…やっぱりウルドの側は安心するなぁ』
微睡んでいるような、ふわふわと僅かに拙いような口調で言ったAは私の胸元に擦り寄る。
『なんだろうなぁ…この力が抜ける感じ』
「もっと頼っていいんだぞ」
『頼ってるよ』
彼女の頼っていると私の頼れというのはかなり差があるらしく、不満だ。Aの方が永く生きてきた弊害からか、他人に頼ることがかなり苦手らしい。彼女は頼っていると言っているが、正直頼られている気はしないのだ。そんなに私は頼りないのだろうか。
そんな葛藤に気付いたのか、Aは苦笑すると私の頬に手を添えて額同士をくっつける。
『変なこと考えてる』
「考えてない」
『自分は頼りないのか、とか思ってそうだけど？』
話すたびに彼女の吐息に触れる唇から息が漏れた。
『…話してないのは悪いと思ってるよ。でもまだ、駄目だから』
彼女は何を知っているのだろう。何をしようとしているのだろう。…きっと今は、何も話してはくれない。そのもどかしさをAは分かっているのだろうか。
『必ず話すから』
そう言って目蓋を閉じたAはいま、何を考えているのだろう。その真意を私は掴めない。それがまた、もどかしくて。悔しくて。
ただ彼女を掻き抱いた。
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レイ(プロフ) - 露亞さん» 私の妄想満載の小説を素晴らしいだなんて…！ありがとうございます！のんびり更新していきますので、また良かったら読んでみてください！ (2020年6月15日 18時) (
レス) id: e8675e311e (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - ウルド様ァァァあ”あ”ウルド様！！！素晴らしい小説ですね！！！更新頑張ってください！！！！！ (2020年6月15日 18時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイ | 作成日時：2020年6月6日 21時
