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『あの子が本当に《器》なら、世界中の吸血鬼と人間から狙われる』
「優ちゃんが？どうして優ちゃんが狙われるの？」
あの子がいったい誰の駒なのかは分からない。あるいは色んな奴らの駒なのかもしれない。だが、鍵なのは確かだろう。
『狙われたのは、優だけじゃない。君たちもだ。だから優とミカ以外は死んだ』
そう言って、地面に横たわる子供たちを一瞥する。
百夜孤児院は《百夜教》が運営していた施設だ。そこでは吸血鬼界では禁忌と呼ばれた呪法《終わりのセラフ》の実験が行なわれていた。だから世界崩壊前、私たち吸血鬼百夜教の施設を潰した。当然、そこにいたミカたちもまた、被験体である可能性が高い。
そして、それを主導していたであろう人物の目星は大体ついている。
『だから力を身に付けるんだ。あの子を守れるだけの力を。そして君にはその力がある。それを、上手くコントロール出来るようにならないとね』
そう…彼には力が与えられた。第三位始祖であるクルルの血を飲み吸血鬼化したミカの実力は第十一位始祖辺りに匹敵する。それはつまり、大抵の人間や吸血鬼では敵わない強さを持っているということだ。
上手く使いこなせるようになれれば、優を迎えに行けるかもしれない。何かから守れるかもしれない。
…それに、
「僕が…優ちゃんを…」
一度失いかけた光がまた、青い瞳に宿る。
「…うん。僕が、優ちゃんを守る」
それはミカを生かす希望となるから。優を守るという目的…もしくは執着を持てば、彼はまだ生きていられるだろう。
何も理由がなく生きるには、この吸血鬼という身体と生は酷でしかないと知っているから。絶望でしかないだろうから。
だからミカがこれから生きるためには、優という存在は必要不可欠なのだ。
強い光が戻った彼に微笑むとクルルを見る。
『よしよし。なら、今は少し休もう。で、落ち着いたら私が色々見てあげようかな。吸血鬼界のルール・知識・力の使い方…それから剣技もこれから必要だろうから教えてあげようか。…いいね？クルル』
このことは黙っていてあげるから、その代わりに彼の監視はする。
と言外に告げると、難しい表情をしながらもクルルは頷いた。
「…そうね。彼女の元で学ぶのが一番賢いわ」
『よし。じゃあそういうことでよろしくね』
立ち上がると、微笑みを浮かべながらミカに手を差し出す。
『ーーー夜の世界へようこそ。百夜ミカエラ』
さぁ、君はこれからいったいどう生きていく？
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レイ(プロフ) - 露亞さん» 私の妄想満載の小説を素晴らしいだなんて…！ありがとうございます！のんびり更新していきますので、また良かったら読んでみてください！ (2020年6月15日 18時) (
レス) id: e8675e311e (このIDを非表示/違反報告)
露亞(プロフ) - ウルド様ァァァあ”あ”ウルド様！！！素晴らしい小説ですね！！！更新頑張ってください！！！！！ (2020年6月15日 18時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイ | 作成日時：2020年6月6日 21時
