60話目 ページ14
優しさは毒だ。一度、その味を知れば逃れられなくなるほど強いくせに多くの人はそれに気づかない。
さっさと手を振り払え。頭の中の私が言う。
その声が正しい事は分かっている。分かっているのにこの優しさに浸かっていたいと思ってしまっている自分がいる。
チグハグだ。
大粒の涙を流している筈なのに顔は歪まないし、別に悲しい訳じゃない。
表情も感情も何もリンクしない。それが良いことなのか悪いことなのかすら、今は分からない。
あぁ、生きたくない。そんな考えが頭の中を埋め尽くそうとしていると、電子音が部屋に響いた。
発信源は私の携帯からだった。
『はい。、、、了解』
携帯を耳から離せば、メールが送られておりそれをタップすると、そこには仕事の日時やターゲットの顔写真などが送られてきていた。
『仕事が入りました。帰ります。ご迷惑をおかけしました。』
相「大丈夫、なのか」
明らかに心配しています。という顔をした相澤先生と目が合った。
『私はここから逃げられないんだよ、先生』
そう言った煙影は諦めの中に苦しみを隠したような顔をしていた。
『ホークス、あんたはさっさと帰れ。こっちにいると余計な仕事を回されるぞ』
ホ「なんで俺には冷たいのかなあ」
ぶつくさ言ってるホークスを横目に荷物をまとめてドアの前に立つ。
当分、先生に会うこともないだろうなと思いながら、ドアを開ける。
廊下は真っ暗だった。
涙はいつのまにか止まっていた。
ドアを閉めながら、小さな声で
『さよなら、先生』
相澤「っ！」
と、言ったのは聞こえていたんだろうか。
『死なないでよ下さいよ。相澤先生』
そう呟きながら真っ暗な廊下に姿を消した。
相澤「煙影！！」
あのまま煙影を行かせてはいけないと思い、急いでドアを開けたが、そこには真っ暗な廊下が広がるだけで誰もいなかった。
まるで、煙に巻かれた様な狐に化かされた様なそんな感覚がした。
季節外れの冷たい風が相澤の頬を撫でた。
それから煙影は体育祭当日まで学校に姿を表す事は無かった。
入学編、終幕
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麗葉 - 私ここのヒーロー側嫌いだ、、、主ちゃん幸せになってぇぇ！ (6月8日 21時) (
レス) @page13 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
真白 - うわぁ.....気になる (2023年1月14日 1時) (レス) @page13 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
瑞樹(プロフ) - な、謎が多いですね……煙影ちゃんの過去が全然見えない……続きが気になりますぅ……← めっちゃ面白いです！ 更新待ってます！ (2022年10月28日 21時) (レス) @page12 id: 943a21922c (このIDを非表示/違反報告)
かいと - お、面白いけど…謎が多くてよくわかんない…私の理解力の問題か…？完結のときに謎の解明を頼みます！ (2022年10月23日 8時) (レス) @page12 id: f9cc241d98 (このIDを非表示/違反報告)
まいむ - うわあああああああおもしろい！続きが気になるうううう (2022年3月18日 21時) (レス) @page2 id: ce81fe4080 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜猫@96 | 作成日時：2022年2月15日 4時
