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19-2 ページ10

「お前さ、慎太郎と何かあったの?」

京本さんとサヨナラをしてアルビコッカを後にして、少しした所で隣を歩く樹先輩が唐突に私の顔を覗き込んできた。

「なんにもないですよ?」

そんなことをされるともそんなことを聞かれるとも夢にも思っていなかった私は大げさにビクッと反応して足を止めた。重なった視線を咄嗟に逸らしてしまう癖は今もまだ直らない。否定の言葉を返したのは条件反射だった。

「嘘つけ。流石に態度に出過ぎてて判るわ」

そんな私を樹先輩は鼻で笑う。再びゆっくりと歩き始めた樹先輩に私は続いた。

「本当に!何もないですって」

内心でそんなに態度に出てたのかと焦りながらも、私は誤魔化そうとする。けれど樹先輩は聞く耳を持ってくれなかった。

「何ムキになってんの。正直に言えばいいじゃん。『慎太郎君と喧嘩しました』って」
「慎太郎君とは喧嘩してないです!」
「『とは』ってことは別の誰かとは喧嘩したんだ?」
「……!?!?」

樹先輩の言う通りに私はムキになっていた。ムキになった結果の失言だった。

「樹先輩には……」

関係ない、と続けようとして言葉に詰まったのはまさに同じ台詞をチアキに放って後悔したばかりだったからだ。だから別の言葉を探そうとしたのに。

「『関係ない』って?」


痛くも痒くもないもなさそうに笑って、私の代わりに樹先輩が続きを言った。だけどそれに馬鹿正直に「そうです」とは答えられない。口を開きかけて結局閉じてしまった私とは対照的に樹先輩の口は良く動く。

「それなら『お前と慎太郎が気まずそうにしてるとバイト中やりずらいんだけど?』って言えば白状しやすい?」
「……っ、」

樹先輩の言葉にショックを受けたのはバイトには支障をきたしていないつもりだったからだ。

「すみません」

しらを切り通したい気持ちよりも申し訳なさが勝って謝ると、樹先輩は心底呆れたような顔をした。

19-3→←19-1/ 勘が鋭すぎる人



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夕色(プロフ) - あずみさん» 長いのに一気読みありがとうございます……!コメント嬉しいです。今後も慎太郎の格好良い所書けるように頑張りますねー! (2月12日 20時) (レス) id: f0afa3630e (このIDを非表示/違反報告)
あずみ(プロフ) - 一気読みしてしまいました…!慎太郎くんかっこよくて最高です!笑 めっちゃきゅんきゅんドキドキしてます!!^^ これからも更新楽しみに応援させていただきますね!! (2月11日 23時) (レス) @page39 id: fffeedeac5 (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうございますー!樹先輩については書きたいような、ずっと本当の所は解らないままでいて欲しいような……って感じです! (11月30日 22時) (レス) id: f0afa3630e (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - 慎太郎サイドだ!主人公ちゃんを応援したいが、樹先輩も気になる。 (11月29日 6時) (レス) @page19 id: 9bdd0af86e (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ★mmiioo★さん» なんかなかなか煮え切らない展開が続きますがきょも共々生温かい目で見守っていただけると嬉しいです。頑張れ慎太郎!って思いながら書いてます😌。 (11月23日 23時) (レス) id: f0afa3630e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夕色 | 作成日時:2023年10月17日 12時

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