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急遽慎太郎君が休みになって、忙しくてあっという間に一日が終わった。帰り道、樹先輩と二人きりなのが少し気不味い。
いつもだったら何かしら話しかけてくる樹先輩が今日は静かだった。少し前ならありがたいと思ったであろうこのシチュエーションが今は逆に落ち着かない。
「……」
「……」
並んで言葉もなく歩いていた所でスマホのバイブが鳴った。樹先輩と話をしてる最中でもなかったので鞄のポケットから取り出したスマートフォンを見ると届いていたのは慎太郎君からのメッセージで。
『そろそろ終わった？今日急に休んで迷惑かけてごめん！！』
胸がとくんと跳ねる。返って気を遣わせると思って悩んだ末に何もメッセージを送らなかった私は、まさか慎太郎君の方から連絡をくれるだなんて思っていなかった。
なんて返事をしよう？そう考えを巡らし始めた所で樹先輩の声が聞こえた。
「慎太郎から？」
「えっ？」
ズバリ言い当てられて動揺の声を上げる。
「今、俺のとこにも来てたから」
「なるほど」
確かに、私に送ったなら同じく今日シフトに入っていた樹先輩にもそうするのは自然だ。別に私だけに連絡が来た訳じゃないことに落ち込んだりはしない。
「慎太郎君早く元気になるといいですね」
心からそう思う。どのくらいの熱なんだろうかとか、食べるものとか大丈夫なのかとか、本当は仕事中ずっと気になっていた。
「そーねー。まあ大丈夫じゃない？元気が一番の取り柄みたいな奴だし」
「それは、そうですけど」
でも普段元気な人だからこそ体調崩した時はしんどいんじゃないかとも思う。
「Aはさ、俺が風邪引いた時もそうやって心配してくれんの？」
私の顔を少し覗き込むようにして樹先輩が尋ねた。突然重なった視線にびくっとする。
「……しますよ、多分」
「多分かよ」
けたけたと樹先輩が笑った。
「朝のことだけどさ」
だけど次に耳に届いた、いつもの軽い調子とは違う湿度の増した樹先輩の低い声に心がざわつく。
「俺がお前に構うの、別に慎太郎のこととか関係ないから。俺がそうしたいからそうしてるだけだから」
「…………そう、ですか」
——それは前に言っていた"罪滅ぼし"の一環なんだろうか。
昔みたいに無邪気にはいられない。すぐに変われる訳じゃない。だけど、樹先輩に対する嫌悪感のようなものはだいぶ薄れた。だから、もう十分なのに。
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夕色(プロフ) - あずみさん» 長いのに一気読みありがとうございます……！コメント嬉しいです。今後も慎太郎の格好良い所書けるように頑張りますねー！ (2月12日 20時) (
レス) id: f0afa3630e (このIDを非表示/違反報告)
あずみ(プロフ) - 一気読みしてしまいました…！慎太郎くんかっこよくて最高です！笑 めっちゃきゅんきゅんドキドキしてます！！^^ これからも更新楽しみに応援させていただきますね！！ (2月11日 23時) (レス) @page39 id: fffeedeac5 (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうございますー！樹先輩については書きたいような、ずっと本当の所は解らないままでいて欲しいような……って感じです！ (11月30日 22時) (レス) id: f0afa3630e (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - 慎太郎サイドだ！主人公ちゃんを応援したいが、樹先輩も気になる。 (11月29日 6時) (レス) @page19 id: 9bdd0af86e (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ★mmiioo★さん» なんかなかなか煮え切らない展開が続きますがきょも共々生温かい目で見守っていただけると嬉しいです。頑張れ慎太郎！って思いながら書いてます😌。 (11月23日 23時) (レス) id: f0afa3630e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夕色 | 作成日時：2023年10月17日 12時
