キミがやさしい人だから 4

18-1/ 友達でいたい人 ページ5

寝ようと思えば、チアキをベッドの奥の方に寄せて隣で眠ることだって出来ただろう。だけど今夜は、眠気や身体のだるさは確かにあるのに、気持ちがモヤモヤして全然眠れる気がしなくって。

結局、本を読んだり、それにも疲れたらイヤホンで音楽を聴きながら、机でうつ伏せになったりして、意識があるんだかないんだか解らない状態を空が明るくなるまで続けた。


「あれ？えっ？えっ？」

眠りが浅かったのだろう、背後から聞こえてきた声に私はすぐさま意識を覚醒させる。充電の切れたイヤホンを耳から外して振り返る。

「おはよう、チアキ」
「おはよう。ってなんでA！？慎太郎は！？」

眠さの滲んだ私の声とは対照的に、チアキも顔はだるそうなのに動揺の方が勝っているのか勢いよく質問を投げかける。

「昨日の事、覚えてないの？」

呆れて尋ねながら立ち上がると身体のあちこちが痛んだ。私もだけれど、チアキも喉が渇いているだろうからキッチンへと向かう。

「昨日は慎太郎と飲みに行った。それで、…………あ！」

目を瞑り眉間に皺を寄せていたチアキがぱっと目を開いた。どうやら完全に昨晩の記憶を無くした訳ではないらしい。

「思い出した？」

麦茶を注いだグラスを差し出しながら私が再度尋ねる。

「ありがと。……なんとなく思い出してきたた。うわー、なんかごめんA」

グラスを受け取ると、チアキは今まで見た事がないような気まずそうな顔をした。

「私はいいけどさ、慎太郎君には謝りなよ？あとジェシー君も心配してたから連絡してあげな？」

私がジェシー君の名前を出すと、麦茶を飲んでいたチアキの身体がピクリと跳ねた。

「え？A、ジェシーと連絡取ったの！？！？」

グラスから口を離し顔を私の方に向けてそんな事を尋ねる。

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