キミがやさしい人だから 4

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「お誕生日おめでとうございます。こちらバースデープレートになります」
「え、うそ！？わー、すごい！」
「ほんとだ！こんなちゃんとしたの出てくるんだ！？」
「おいしそー！」

ナっちゃんの前へとバースデープレートを置けば驚きと歓声の声が上がった。要予約のアルビコッカのアニバーサリープレートは、有料のサービスの代わりに一切の手抜きがない。頼んだ人に絶対に満足してもらえるメニューだった。

勿論喜んで貰える自信はあったけど、実際にお客さんの笑顔を目にするのはやっぱり嬉しい。視線をチラリと向けると、Aちゃんも嬉しそうだ。その笑顔に心が温かくなる。

「よければ写真お撮りしましょうか？」
「あ、じゃあ私のスマホでお願いします！」

俺の提案にAちゃんが慌てて鞄のポケットからスマホを取り出した。

「す、すみません。もう少しかかります」

チラリと見えた画面の感じだと急いだ所為か連続でパスコードを押し間違えてしまったみたいだ。

「ゆっくりで大丈夫だよ、Aちゃん」

焦った表情になったAちゃんが、面白いのと心配なのと可愛いのが少しずつ混ざって、ついいつもの調子で声を掛ける。すると画面に向けられていた顔が俺の方へと向けられた。

「あ、うん。ありがとう、慎太郎君」

ほっとしたような表情になって控え目に微笑む。


「お待たせしました。これでお願いします」
「はい。……っ」
「……っ」

差し出されたスマホを受け取る過程で指先同士が触れ合った。別にたったそれだけの事だ。だけど。

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