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「すみませ、」
「はい。今伺いまーす」
キッチンの方へと声を掛けるとフライング気味に返ってきたのはよくとおる慎太郎くんの声だった。
「Aちゃん、チアキいらっしゃい。ナっちゃんお誕生日おめでとう。あとコハルちゃん、だよね?はじめまして」
しばらくしてやってきた慎太郎君が順に私達の顔をみて声を掛けていく。会ったことのないはずコハルの名前を慎太郎君が知っていて、私が驚くとそれが顔に出ていたのか慎太郎君が付け足した。
「あ、三人の話たまにチアキから聞いててナッちゃんとは会ったことがあるから」
私はずっとチアキの話をするのは慎太郎君に悪いと思っていた。どうしても四人で行動することが多いので、結果として他の二人の話を私が慎太郎君にすることは殆どなかった。だけどチアキは時々私達のことを慎太郎君に話していたらしい。
「慎太郎くん、はじめまして。コハルです。いつもチアキとAがお世話になってます」
チアキ経由で慎太郎君(とジェシー君と北斗)の写真を見た事があるし、話だけなら私からも聞いていたコハルはお互い様と思ったのか、動じた様子もなくそんな風に挨拶をした。
「慎太郎、さすがに仕事中はいつもの格好じゃないんだね」
大学にいる時と比べてきっちりとした服装の慎太郎君にチアキが感心したように言った。
「そりゃTシャツハーパンサンダル以外の格好もするよ」
「Aもこんな感じなの?似合いそう」
「めっちゃ似合ってるよ」
私に向けてチアキがした質問になぜか慎太郎君が当たり前みたいに答える。不意打ちで、しかもその内容が嬉しかったものだから、私はすぐに言葉が出なかった。
「っ、いや、うんそうだけど、別に普通だよ」
「えー見たい。今度はAがバイトしてる時に来ようかな」
「いや、それは恥ずかしいってゆうか」
「いいじゃん、来てもらえば。ってか、料理食べたら絶対また来たくなるよ」
それは間違いなかった。なぜなら京本さんの作る料理はとてもおいしいからだ。
「そうだ、注文お願いします」
料理の事が出て、慎太郎君は何も雑談をする為にここにいる訳じゃないことを思い出す。
「あ、そうだよね。ご注文どうぞ」
私の言葉に慎太郎君が少し残念そうな顔になった、気がした。もしかしたらもう少しチアキといたかったのかもしれない。だとしたら悪いことをしてしまった。
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夕色(プロフ) - あずみさん» 長いのに一気読みありがとうございます……!コメント嬉しいです。今後も慎太郎の格好良い所書けるように頑張りますねー! (2月12日 20時) (レス) id: f0afa3630e (このIDを非表示/違反報告)
あずみ(プロフ) - 一気読みしてしまいました…!慎太郎くんかっこよくて最高です!笑 めっちゃきゅんきゅんドキドキしてます!!^^ これからも更新楽しみに応援させていただきますね!! (2月11日 23時) (レス) @page39 id: fffeedeac5 (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうございますー!樹先輩については書きたいような、ずっと本当の所は解らないままでいて欲しいような……って感じです! (11月30日 22時) (レス) id: f0afa3630e (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - 慎太郎サイドだ!主人公ちゃんを応援したいが、樹先輩も気になる。 (11月29日 6時) (レス) @page19 id: 9bdd0af86e (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ★mmiioo★さん» なんかなかなか煮え切らない展開が続きますがきょも共々生温かい目で見守っていただけると嬉しいです。頑張れ慎太郎!って思いながら書いてます😌。 (11月23日 23時) (レス) id: f0afa3630e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夕色 | 作成日時:2023年10月17日 12時