キミがやさしい人だから 4

22-1/ 距離感がわからなくなった人 ページ32

チアキとの約束の場所へ約束した時間より少し早めに行くと、そこにはいつも時間はギリギリにくるチアキが既に待っていた。

「チアキ」
「A！」

お互いの名前を呼んで距離を十分に縮めた所で。

「この間はごめん」
「この前はごめんね」

なんて台詞が重なって大きく見開かれた目と目が合って思わず二人笑い合った。

/

チアキが予約してくれたお店に移動してお酒を飲みながらお互いの想いを話をした。

チアキはジェシー君の交友関係が想像以上に広くて時々寂しい思いをしてること。本人も無理矢理呼び出されてる感じゃなくてちゃんと楽しそうだから、行かないでとも言いづらいこと。

「付き合う時にさー、言われたんだよね。『俺寂しい想いされちゃうかも』って。これまでの彼女みんな同じ理由で振られたんだって。でも私はさー舞い上がってたからあんま深く考えずに『私も友達多いし大丈夫だよ！』とか言っちゃったんだよねー」
「でも、寂しいならちゃんと寂しいって言って方がいいよ。ジェシー君はきっと『話が違う』とか思わないよ」

あの夜チアキを心配していたジェシー君はちゃんとチアキを大切にしてると思う。でも思っている事は言わなきゃ伝わらないはずだ。

「うん……、頭では解ってるんだけどさ！いざ顔見ると言えないってゆーか、なんか物分かりの良い余裕のある女感出しちゃうってゆーか」

今は頭を抱えるチアキだけどハキハキと話しキリッとした顔立ちのチアキが"余裕のある女感を出している姿"は容易に想像できた。

「チアキちょっと見栄っ張りな所あるもんね」
「ゔ、自分でも直さなきゃって思ってるよ」
「やり過ぎなきゃそういう所も可愛いと思うけど」

私の言葉にチアキが元々大きな目を更に大きくさせる。

「え、なに？」

予想してなかった反応に私が問えばチアキは神妙な顔で答えた。

「……私が男だったら今のでAにときめいてたかも」
「なにそれ」

思わず私は苦笑する。


「でもさ、今回はやり過ぎた方だと思うから反省してる。Aの言う通りさ、慎太郎に甘えすぎてたなって。Aのこと関係なく良くなかったなって」

苦笑混じりにチアキが言った。勢いまかせになりがちな所もあるけれど、自分の非を認める素直さも持ち合わせているのがチアキの良い所だ。

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