キミがやさしい人だから 4

番外編-3 ページ18

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だから、俺はAちゃんと初めて会ったあの日、実は半ば意図的にAちゃんの事を考えるようにしたのだ。チアキとジェシーの事をあまり考えたくなかったから他の事を考える為に。

なんでいくつも候補のある"他の事"達の中でAちゃんの事を考えることにしたかというと、それは多分Aちゃんの第一印象が俺のお酒馴染みと重なって引っかかるものがあったからだった。

重なった視線をさり気無く逸らす仕草。表には出さないようにしているみたいだけど俺やジェシーに絡まれた時に身体が強張っているような感じがする所。

——あれ？

って思って、さり気無くAちゃんの事をよくよく見ていたら「もしかして」と思う点がいくつもあった。

チアキとナッちゃんが仲が良いのは納得で、だけどAちゃんがこの二人と仲が良いのはちょっと意外な気がした。けれど側から見たら俺とジェシーと仲が良い北斗もそんな感じなのかもしれない。イケメンで性格だってめちゃくちゃ良いけれど少し変わっていて人見知りの北斗には、俺の知る限り仲良くしてる女友達はいなくって。だから高校の同級生とはいえ北斗とあんな風に話す女の子、という点でもAちゃんが気になったというのは実はある。

そうやってこうやってああやって誤魔化し誤魔化し時間が過ぎるのを待っていたけれど、最後、他のみんなが駅へと向かおうとする中逆方向に足を
向けたチアキとジェシーを見た時、知らず知らずの内に化けの皮が剥がれてた。

「……慎太郎君、どうかした？」

沈んで動かなくなっていた思考が隣から聞こえてきた柔らかな声でまた浮かんで動きだす。

声がした方を見れば心配そうな顔をしたAちゃんと目があって、すぐに意識しないと気付かないくらい少し逸らされた。

俺の事、多分あまり得意じゃないだろうに、心配して声を掛けてくれたんだ、と驚く。かと言って冗談で返せばそれ以上は踏み込んでくることはなくて、今ここでは不機嫌の理由を追及されたくない俺のテンションに合わせてくれた。

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