20-1: who I care about ページ14
樹の所為でAちゃんが倒れてからしばらく、樹はAちゃんに以前ほどには慣れ慣れしくしなくなった。Aちゃんの方からも自分から樹に必要以上に声を掛けることは無かった。バイト仲間同士の間に出来た溝に、本来であれば気を揉む所だったはずなのに、俺はなぜかそんな二人の様子を見て安堵したのを覚えている。
だけどその後、俺がアルビコッカを休んだ日以降、Aちゃんの樹への態度に以前のような拒絶する感じがなくなった。きっと二人の間に何かあったんだって直観的に思って、Aちゃんに尋ねてみたけれど、困ったような顔をしたAちゃんを深くは追及できなかった。
そして今。
「そういえば昨日のドラマ見た？」
「……実は疲れて寝落ちしちゃったんでネタバレしないでください。今日帰ったら見るので」
「なにそれネタバレしろってフリ？」
「違います！」
二人が初めてアルビコッカで顔を合わせた時の様子を知っている俺からするとまるで氷が溶けたみたいな、雰囲気が二人を包んでいた。閉店後の片づけ時間は手さえ動かしていれば雑談はある程度は自由だった。ちょっとした事で樹がAちゃんを構うのを、以前であればAちゃんは避けるようにしていたのに、今はごくごく自然に相槌を打っている。いつの間にこの二人はこんなに距離を縮めたのだろうか。
『樹が前に言ってた本気で好きになった高校の後輩って』
『お前よくそんな前の話覚えてんな』
『そうだよ。あいつ。A』
公園で樹と話したあの日以来、何度も繰り返し思い起こしたやり取りがまた脳裏に浮かんだ。
——樹がAちゃんの事を好きってこと……だよな。
あの時樹が肯定したのはあくまでも過去のことで、今樹がAちゃんの事をどう思っているのか、はっきりとは告げられていない。だけど話の流れを思えば、今目の前でAちゃんに向けられた樹の甘い視線を見ればそう考えるのがあまりにも自然だった。
チクりっと胸の辺りが痛んだ。だけどそれを気のせいだとやり過ごす。
「最近仲良くなったよね、あの二人」
「わっ！」
いつの間にか背後に立っていたきょもに全く気付いていなかった俺は突然声を掛けられてつい声を出す。
「いや慎太郎驚きすぎ」
そんな俺の反応を見てきょもがくすくすと笑った。
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夕色(プロフ) - あずみさん» 長いのに一気読みありがとうございます……！コメント嬉しいです。今後も慎太郎の格好良い所書けるように頑張りますねー！ (2月12日 20時) (
レス) id: f0afa3630e (このIDを非表示/違反報告)
あずみ(プロフ) - 一気読みしてしまいました…！慎太郎くんかっこよくて最高です！笑 めっちゃきゅんきゅんドキドキしてます！！^^ これからも更新楽しみに応援させていただきますね！！ (2月11日 23時) (レス) @page39 id: fffeedeac5 (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうございますー！樹先輩については書きたいような、ずっと本当の所は解らないままでいて欲しいような……って感じです！ (11月30日 22時) (レス) id: f0afa3630e (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - 慎太郎サイドだ！主人公ちゃんを応援したいが、樹先輩も気になる。 (11月29日 6時) (レス) @page19 id: 9bdd0af86e (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ★mmiioo★さん» なんかなかなか煮え切らない展開が続きますがきょも共々生温かい目で見守っていただけると嬉しいです。頑張れ慎太郎！って思いながら書いてます😌。 (11月23日 23時) (レス) id: f0afa3630e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夕色 | 作成日時：2023年10月17日 12時
