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「や、久しぶりだったから」
けれど答える私の声がまだぎこちない。
「本当、久しぶりだな」
会うだけならばつい先日に会ったばかりだけど、こうして二人でゆっくり話すのはあの日以来だった。
「眼鏡、変えたんだね」
「お前、久しぶり会ってまず言うことがそれ？実は眼鏡フェチだったの？」
気になった事を尋ねれば北斗は呆れたように返した。
「いや、なんかオシャレになってたからびっくりしただけだよ！似合ってるね、格好良い」
「……そういうとこ、変わんねぇな」
少し困ったような顔で北斗が私を見下ろす。
「昔の丸い眼鏡も似合ってたけど」
「嘘吐け。額に傷でもあるのかって揶揄ってきた癖に」
こんな軽口の応酬が懐かしかった。
「ここだと人多いしとりあえず映画館の方行く？」
「あ、うん」
すたすたと歩き始めた北斗の大きな背中を私は追う。北斗は一人の時はもっと速く歩くはずだ。けれど久しぶりなのに、昔と変わらない私の歩きやすい歩調で北斗が歩く。だからすぐに私は北斗の隣に並んだ。他の通行人の人の邪魔にならないように北斗が私の方に寄った時、ふいに北斗の手と私の手が触れ合う。
「っ……、」
びっくりして反射的に手を遠ざけてしまって、「しまった」と思った。だけど北斗はそんな私の様子にはきっと気付いてなお、なんでもない風に振る舞った。
「あ、わるい」
「や、大丈夫。驚いただけ」
それは、以前の北斗とは明確に異なる姿だった。私がこういう反応を見せる度に傷付いた顔をしていた北斗はそこにはいなかった。
私が最後に北斗とこうして二人で会ってからもう一年以上が経っている。その間北斗に新しい彼女の一人や二人いても全然おかしくなかった。というかそう考える方が自然だ。そう思えば自意識過剰になっていた自分が急に恥ずかしくなる。
だけど少しほっとしたのも事実だった。
なんとなく足が遠のいて、北斗と別れてからは別の映画館に通っていたから今日足を運んだこの映画館にくるのは久しぶりだった。昔とほぼ変わらない内装に懐かしさを覚える。
慣れた手付きで北斗が二人分のチケットを発券してくれて、売店でドリンクを買った。そうするといよいよ「これから映画を見るんだ」という高揚感で胸が膨らむ。それはきっと北斗も同じで、映画を見る直前に口数が少なくなるのは昔からお互い様だった。
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夕色(プロフ) - ★mmiioo★さん» お読み頂きありがとうございますー！それぞれのメンバーとエピがっつり書くつもりなので、少しでも楽しんで頂ければ嬉しいですっ。 (2022年8月24日 10時) (
レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
★mmiioo★(プロフ) - 前作では切なかった慎太郎くんなので、今回はうまくいくかな？元カレ�△遼姪佑�んともどうなるのかドキドキ💓 (2022年8月23日 12時) (レス) @page14 id: 9bdd0af86e (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - kouさん» kouさんはじめまして！前作&今作ありがとうございますー！長い話だったのに一気読みして頂き嬉しいです。新作も更新がんばります。 (2022年8月12日 9時) (レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
kou(プロフ) - 初めまして！ついこないだ前作を一気読みさせていただいてとても面白かったので、新作とても嬉しいです！！更新楽しみにしています♡ (2022年8月11日 15時) (レス) id: a0fdefb443 (このIDを非表示/違反報告)
夕色(プロフ) - ★mmiioo★さん» ★mmiioo★さんコメントありがとうございますー！またまったりやっていこうと思うのでよろしくお願いしますっ。 (2022年8月11日 0時) (レス) id: 109b0e65b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夕色 | 作成日時：2022年8月9日 12時
