9話 ページ11
__翌朝__
千佳「(ちょっと早く着きすぎたかな……)」
時間を見ながらそう思った女の子だった。しかし後ろからｶﾞｼｬﾝ‼️と大きな音をたてた少年にその考えは頭から無くなった。
遊真「うーむ………手強い」
しゃちほこのような体勢になった少年に女の子は暫く声を出さなかったが、おどろいた表情で言った。
千佳「だ、大丈夫!?」
遊真「ふむ?……平気平気、全然平気。ケガなんかしてないよ。」
少年がしゃちほこのような状態から立ち上がった。その時女の子は少年の背丈を見て思った。
千佳「(私と同じぐらいの背………小学生かな……)」
そして女の子は少年がここで何をしていたのかが気になり、少年へ疑問を問いかける。
千佳「自転車の練習してるの？」
遊真「友達を待ってんだ。その間ヒマだから練習してるだけ。」
千佳「そうなんだ、私もここで待ち合わせしてるの。」
女の子がそう答えると、少年は少し驚いたのか、嬉しそうに「ほう、奇遇ですな。」と、答えた。
そして、女の子にこう問いかけた。
遊真「……おまえ、自転車乗れる？」
女の子がキョトンとした顔で「え？うん………一応」と答える。すると少年はキメ顔をし、「…………やるね」と言った。
千佳「そ、そうかな」
遊真「こんな、絶対転びそうな乗り物がどんな仕掛けでまっすぐ走ってるのかと思ったら、別になんの仕掛けもなかった！驚愕の事実……！」
そう、まるで自転車を知らないような口ぶりの少年だった。その言葉を聞いて女の子は、「(外国の子なのかな……？)」と、思った。
遊真「これで倒れずに走れるのがふしぎだ…………。日本人が特別に訓練されているのか？」
色々と少年が呟いていたが、女の子との会話はﾋﾟﾛﾘﾛﾘﾛと音をたてた携帯電話により中断された。
千佳「もしもし………うん。うん。わかった、待ってるじゃあね」
短い電話が終わり、少年が右へ左へとフラフラしながら自転車に乗っていた。しかし努力虚しくｶﾞｼｬﾝ‼️と大きな音を立てて少年の自転車は倒れてしまった。
千佳「わっ！大丈夫!?」
遊真「大丈夫大丈夫。」
女の子は転倒続きの少年に少してを貸してあげることにした。そして自転車の後ろ、荷台へと手を置き小走りで自転車を押した。
遊真「おっ？おおっ！？これは！？」
女の子が押したことにより少し加速した自転車に、少年はなにかを感じたみたいだった。
遊真「走ってる！ちゃんと走ってる！これはつかんできた！だんだんコツつかんできたぞ!!」
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作者名：夜月 | 作成日時：2018年12月9日 8時
