繋げ！②【ハイキュー】 (ページ38)

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『あそこのシーンでヒロインが、』

「そうそう！で、再会したときにさ！」

『あっ、私も同じこと思った』

「だよな！？」

映画の感想を言い合うのは、とにかく終わりがなかった。話が尽きることがなくて、話題に困らないことに感謝したぐらいだ。

夜久「そうだ、このあとなんだけどさ」

『ん？』

夜久「水族館に行きませんか」

チケットを机の上に出して誘ってくる。うん、私はアナタにそんな可愛い顔されたら断れませんよ。

『もちろん』

夜久「ここから近いとこでさ、最近できて人気らしいんだ。クラゲの水槽が有名で、テレビの特集見たときに、狼谷と行きたいなって思った」

『うん、夜久の行きたいとこ全部行こう。今日誕生日だもんね』

夜久「え、俺それ言ってたっけ…？」

誕生日、その言葉に夜久が一瞬固まった。直ぐに否定したけれど、当の本人は恥ずかしそうに顔を手で覆っていた。

夜久「めっちゃ恥ずかしいじゃん…俺、狼谷と一緒にいられたらそれでいいから誕生日空いてるか誘って、なんか、ダセェ！！！」

『全然ダサくないよ』

夜久「いやっ、ダセェ……！！！」

『私も楽しませてもらってるし、夜久にプレゼント渡すって考えたら全然決められなくて、一緒に選びたいな〜と思ったのですが…いかがでしょうか』

夜久「……アリガトウゴザイマス」

本当に、もどかしい。

だって私と夜久は今付き合っているわけじゃないから、手も繋がないしハグとかのスキンシップもない。

お揃いのアイテムもないし、今すれ違ったカップルのように腕を組んで歩くこともしない。

夜久「高校生2人で」

「はい、学生証のご提示ありがとうございます！
それでは行ってらっしゃ〜い！」

映画館で学割を使うために持ってきていた学生証、こんなところでも役に立つとは。

『やっぱ、混んでるね…夏休みだし』

夜久「だなー、狼谷どっか見たいとこある？」

『うーん、夜久オススメのクラゲ水槽かな』

夜久「もう少し先だな、順路に沿っていくか」

『そうしよ……あ、黒尾の好きなやつ』

夜久「じゃなくて、サンマな」

『んふ、だって…へへ』

時折堪えきれなくなって笑って、でも水族館は騒がしい場所ではないからそのボリュームも周りに迷惑かけないように絞って。

夜久「狼谷そこ立ってみて」

『ん？大きい水槽の前ね、ここ？』

夜久「そーそー。お、めっちゃいい感じに撮れる」

『どうせなら2人で撮ろうよ』

夜久「えっ…」

『嫌なら、いいけど』

夜久「撮る！」

近くにいた人に頼んで並んで写真を撮ったりして。