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『ただいまトーキョー』
狼谷母「帰ったらまずは荷物放ってご飯食べに行こうか」
『うーん、あんまり食欲ない…』
狼谷母「夏バテって言うの。うどんとか食べやすいものにしようね」
『ウン』
インターハイも終わり東京に帰ってきた、梟谷のみんなと若利と、本当はそれともう1人会いたい子がいた。インターハイ出場校の中に名前はあったからきっとどこかにいたはずなんだろうけど、タイミングが合わなかったから会うことが出来なかった。
『(までも、あそこの学校強いし、春高で会えたらいいな)』
狼谷母「じゃあ、どこ食べに行く？」
『もう外出るの面倒だから家で食べようよ…』
狼谷母「ママが作るの面倒なんだってば」
『じゃああたしが作るから！ね、冷凍麺残ってるし』
そうして大鍋に湯を沸かして麺を茹でる、夏場に暑い台所。確かにこれはお母さんも嫌がるわけだ、窓開けて換気扇を回してるのにチョー暑い。
『おかーさん。私たち、絶対春高出るから。絶対見に来てね』
狼谷母「当たり前でしょー？」
『私、頑張るからね！』
茹で上がったうどんを出して薬味としてネギとかしょうがとかワカメを小皿によそった。
狼谷母「また月末には合宿でしょう？体調崩さないようにね。音駒でやるんだって聞いたけど、なんか差し入れとか持っていく？」
『え、いいよいいよ』
狼谷母「あ、じゃあお母さんが録画したインターハイの試合映像持ってきな！現像してあげるから！！」
『う、うん…分かった』
何だか私より嬉しそうというか、楽しそうだ。
お母さんはいっつもそうやって私の分も楽しんでるみたいに、たくさん笑顔を向けてくれる。でも私はそれが嬉しいし、恵まれていると思う。
父は指導者やトレーナー職を転々としていて、今は大学でバレー部の指導者をしている。
選手寮の近くに住んでいるからあんまり家には帰って来れないけれど、それが寂しかったことはあんまりない。だって、いつも連絡をくれるしテレビ電話とかもしたりする。
今もまだ両親がラブラブすぎてこっちが困るぐらいだ
『お母さん、お父さんから連絡きた？』
狼谷母「うん、来たよ？」
『あーもう、私には連絡してくれない癖にまた！』
だから、こうしてお母さんにはしてるけど私にはしてない、みたいなことが起こったりする。今回も知り合いに会った〜とか言ってるけどきっとその中でお父さんとも会ってたんだろう。
『ま、いっか。お母さんからも、たまには家に帰ってきてねって言っといてよ！』
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作者名：HAL | 作成日時：2024年3月6日 23時
