繋げ！②【ハイキュー】 (ページ29)

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『おかーさーん、私もう支度できたよ〜まだぁ？』

まだ支度途中の母を玄関から呼ぶ、そろそろ降りてきてくれないと新幹線の時間があるのに。

狼谷母「充電器！！！待って！」

うちの母親はいわゆる高校バレーファン、特にどこの高校を贔屓にしているとかは無いけれど、都合が良ければ全国大会にはイカついカメラを持って現地観戦している。

『昨日ケースの中に入れてたじゃん、ないの？』

狼谷母「あった！」

結局バタバタして時間も滑り込み、お母さんが指定席を取ってくれたおかげで新幹線の中ではゆっくり出来たけれど、東京から富山まで何だかあっという間に過ぎていった。

『疲れちゃったからホテルに荷物置いたら温泉見に行こうよ』

狼谷母「温泉は夜、とりあえず荷物置いたら体育館よ！せっかく近いホテル取ったんだから！！」

いつにも増してテンションの高い母に圧倒され、渋々体育館に着いていくことにした。

かおりや雪絵に富山に到着したことを伝えると、どこのホテルに泊まっているのかを聞かれた。そのメッセージに返信だけして私はお母さんの後を着いて行った。

どうやらまだ試合をしている組があるようで、体育館の中に入るとひとつのコートが騒がしくなっていることに気が付いた。

『あ、若利発見』

狼谷母「ホントだね、久しぶりだし話してきたら？」

反対側のギャラリーに集っている彼ら。若利は特に体も大きいから分かりやすいけど、私には気づいてないだろうし、そこに突っ込んでいく勇気はないと断った。

『えぇ、白鳥沢も梟谷も試合明日かぁ……』

狼谷母「私はここで写真撮ってるから、どこかブラブラして来てもいいよ。若利くんと話してきてもいいし、梟谷の子と会ってきてもいいしお土産見てもいいし」

『じゃあ、ちょっと離れるね。お母さんここにいる？』

狼谷母「うん、離れる時は連絡するから」

*

かおりA、もし時間あったらここおいでよ!

位置情報と共にメッセージが届いてるのに気が付いて、この体育館のスグ横だということもあるのでそちらに向かおうと思う。

『げ』

これから向かう旨を伝えて顔を上げたとき、試合の観戦を終えたのか白鳥沢学園男子バレー部御一行がこちらへ歩いてきているのが見えた。

うわ、今絶対目合った。

牛島「A、来てたのか」

『うん、白鳥沢は試合明日だっけ？』

牛島「そうだ、13時からここで行う」

『ふぅん、そっか』

牛島「Aの学校は、確かネコマとか言ったか？」

珍しく若利が話題にあげたのは私のこと。そんな若利の言葉に私の姿が気になったのか、後ろからひょこりと顔をのぞかせた人が数人いた。