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「オメーが竜胆の彼女？ふぅん？」
『は、はひ……！』
多分この美人が竜胆くんの兄、身長がかなり高いし言葉には表せないような雰囲気がちょっと怖い。
『り、竜胆くん、あの、おきて！』
「あーダメダメ、竜胆は二度寝したら起きねえよ。しかも酒飲んだんでしょ？」
『はい……』
「別に取って食うわけじゃねえから、安心しな」
『あの、竜胆くんのお兄さん……？』
「俺、灰谷蘭。Aチャンって呼んでいい？」
『もちろんです。えと、蘭、さん』
「ん？」
運転しながら私たちの座る後部座席の方へ時折振り向いてくれる、なんだかお兄さんがいるのって憧れるかも。
『竜胆くんって、蘭さんといるときどんな感じなんですか？』
「俺といる時の竜胆？」
『気になります』
「そうだな。竜胆はバカで、アホで、何も考えてないように見える。で、Aチャンのことが大好きな俺の大切な家族」
ミラー越しにこちらを見る瞳が、とても印象的だった。
「ところで2人は付き合ってどんぐらいなの？」
落ち着いた声で話を一旦区切ると、全く違うトーンで違う話を始めた。
『えと、どのぐらいだろう……3年、ぐらい？』
「へぇ、結構長いんだな」
『そうですか、ね……』
「どこで会ったの？」
『あ、えっと……仕事場に竜胆くんが来て、私が好きになって…』
「仕事場？Aチャン、仕事何してんの」
『NPO法人の職員です、簡単に言っちゃうと』
「え、もしかして大将のとこ？」
『大将？』
「あー、Aチャンの仕事の上司って黒川イザナ？」
『そうです！て、あれ、知り合い？』
「まあな〜、昔一緒にヤンチャしてた」
『じゃあ鶴蝶とも知り合いだ！』
「鶴蝶も知り合いだよ」
竜胆くんを膝の上で寝かせて、彼の兄の運転する車に乗っているのは結構心地のよいものだった。
構えていたほどお兄さんは怖くなかったし、とても気さくに話しかけてくれる。
『あの、竜胆くんって私のこと普段どんなふうに言ってるんですか……？っていうか、私のこと話してます？？』
「ん？あぁ、話してるよ。
普段はね、その日にあった出来事がほとんどかな。」
『(良かった、油物食べた後にキスねだってることは言ってないっぽい…？)』
「Aチャンが意外とたくさん食べることも、酒豪だってことも言ってたよ」
『げ！』
「まぁ、Aチャンの話をしてるときの竜胆は特に穏やかで幸せそうだからさ。竜胆のこと宜しくたのむね」
『こちらこそ、です…そんなの』
「そろそろ着くから、竜胆起こしてな」
この短い時間で、お兄さんや竜胆くんのことを少し詳しく知れたような気がして私は嬉しかった
続く (更新停止中)
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作者名：HAL | 作成日時：2024年1月19日 4時
