アナタは太陽【ヒロアカ】 (ページ10)

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「盗み聞きとは趣味が悪いな。」

『たまたまですよ〜後から来たのそっちだし』

「最近増えてな、困ってる」

『はいはい、モテる男は辛いね〜』

「何なんだそれ」

半ば呆れ気味で、女の子からの告白を丁寧に断りこっちへやってきた炎司くん。

私がいたことにいつから気付いていたのだろうと考えていたが、彼はどうやらはじめから分かっていたようだ。

『んーーーーっ、休んだし次はミスコンのとこ行かなきゃ』

轟「ミスコン、そう言えばそうだったな。」

『せっかく出るんだし、炎司くんも見に来てよね』

轟「そうだな、顔ぐらいは見に行ってやる」

次から次に舞い込んでくる用事に、頭を抱える暇もなく私はそれをこなしていく。

クラスの代表として、みんなとひとつの出し物を作り上げた。

美人だなんだと持て囃されて、1年生ながら名物であるミスコンテストに出場することになった。

お互いの空いている時間を使って、好きな人と文化祭を一緒に見て回ることになった。

『これ以上に幸せなことがあるもんか！頑張るぞ！！！』

先生やクラスメイト、隣のクラスの友人さえも背中を押してくれる。

特に変わったことはなく、そのまま文化祭の日がやってきた。

『さあみんな！今日は頑張ろうね！！！
みんなの個性ガンガン使って、たくさんお客さん怖がらせちゃって！！アタシも客として寄るし！』

「水野が客として来るのか〜、そりゃあ気合いが入る！」

「Aちゃんが驚くところ見てみたいもんね！！」

『あんまりちゃんと手伝えなくて、ごめん。』

「気にすんなって、仮免とか色々大変だったろ？」

「むしろ俺らの方が客観的な意見たくさん聞けて助かってるから！」

「それじゃあAちゃん、ミスコン行ってらっしゃい！！！」

『はい！行ってきます！！！』

集合時刻まではまだまだ時間があるけど、遅れちゃあいけないもんね。みんなが楽しい気持ちを抱えて今日を迎えてる。

轟「水野、」

『あ、炎司くん！！』

轟「もう行くのか？」

『うん、もう行くけどなんかあった？』

「Aー、置いてくよーー？」

『ごめん、すぐ追いつく！』

どこかから戻ってきた様子の彼は、私に紙束を手渡した。

轟「これ、渡しておく」

『パンフ？』

轟「後で回るんだろ？俺は先に目を通しておいたから、もし行きたいところがあるならそれを見て行けば良いからな」

貰ってきた、だなんて得意げに言っていた。控えめに言って愛しい。

『へへ、ありがと、楽しみ！じゃあまたあとでね。』

ミスコン見に来てよ、って釘をさして一旦お別れとなった。