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仮免を取得してからの毎日は、何だか過ぎるのが早いように感じる。
『文化祭はこんな感じで、いいかな？』
「賛成多数、1年A組のクラス発表はお化け屋敷で決定な！」
そういえば言い忘れていたけど、私はこのクラスの委員長なのだ。
だから文化祭に何をするかを決める会議では指揮を執る。
準備も大変だろうとは思うけど、クラスのみんなはとてもやる気で楽しそう。私もそんなクラスメイトの姿を見て、元気が溢れてくる。
「それにしても今年の1年生、凄いらしいね！」
「A組に1年で仮免取ったのが2人もいるんだろ？」
「しかもその1人はミスコンエントリーしてんだろ？勝ち目ねぇ〜！！」
*
「水野さんこれどー？」
『うーん、いい感じだけどもうちょっと間隔空けた方がいいかも。』
「だよなぁ……ありがと！また調整出来たら見て！」
『オッケー！』
文化祭でやることも決まり、私は委員長の仕事とインターンのお話と、って色々立て込んでて本当に本当に大変な毎日を過ごしていた。
今日はやっとひと息つける、そんな放課後。
校舎裏に座り込んで、適当に買ったジュースを飲みながらぼーっとする。
『そいえば最近、炎司くんと話してないな』
轟炎司、16歳。
雄英高校ヒーロー科の主席で1年A組、私の右隣の席に座っている。
真面目で天才肌なのかと思っているとそんなことはなくて、実際はとてつもない努力家だった。そりゃ、才能ももちろんあるし所謂天才の部類ではあると思う。
入試、体育祭、中間テストなど数あるイベントで好成績を残している。期末テストも1位を取っていた。
9月にあった仮免試験では、本命の2年生と共に特例で試験を受け、見事合格をした。
『すっごいな、カッコイイ。』
出会った頃は無愛想で全然会話も続かなくて、むしろ迷惑そうな顔すらしていた。
毎日毎日懲りずに話しかけて、出かけて、勉強を教えて貰って特訓に付き合ってもらったりして仲良くなった。
夏休みに行われた合宿の振替休日には、一緒に夏祭りに行った。
ああいうのは初めてだと言っていて、本人は隠していたつもりだろうが私にも分かるぐらい輝いた目をしてた。
来年も再来年も、貴方と祭りに行くのは私が良いと欲張りが出てきたのはその時がはじまり。
でも、その時は隣を独占しているのが私だと言うことに優越感さえ感じていた。
ただ、夏休みが終わってから炎司くんはモテるようになった。
『あーあ。場所選び、失敗。』
今日だってほら。
「あ、あのっ、好きです！！！」
校舎裏で可愛い女の子に告白されている。
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作者名：HAL | 作成日時：2023年12月29日 7時
