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『ん、っう……ッ』
燃え盛るあの場所で、焦凍くんの背中がとても大きく見えていたことが最後の記憶だった。
「A……、？Aっ！！」
『あ、え……おにい、ちゃん？』
「A分かるか？ここ、病院だ。」
『病院、そっか』
私が病室の上で目を覚ますと、私よりも悲しい顔をしている兄に何だか懐かしささえ感じてしまう。
「オマエ、笑ってんじゃねえよ。アホ。」
『だっ、て、むかしと、おんなじだから』
「心配かけられるこっちの身にもなれよ、ホントに！！」
『うん……心配かけて、ごめんなさい。』
「今回だけは許すよ、お前のおかけでみんな助かったんだから」
『そうだ、焦凍くんは……？あの子は無事？』
数ヶ月か前の私だったらここでまず聞くのは炎司くんのことだっただろうに、今はそれよりも気がかりな子がいた。
上手く回らない頭で、私のことを助けてくれた彼のことを思い出していた。
ただ焦凍くんの他にももう一人、インゲニウムに似たスーツを着ている子が安全な場所まで運んでくれたのを朧気に覚えている。
「ショートか？大丈夫。ちゃんと無事だよ。
それに、お前を安全な場所まで送り届けたインゲニウムも命に別状はなく今は絶対安静だ。お前もだからな。」
『ん、わかってる』
ｺﾝｺﾝ
横になったまま兄と会話をしていたら、病室のドアがノックされる音がした。
兄が誰かと問いかけると、聞き慣れた声で来客は自分の名前を名乗った。
「俺、席外そうか」
『え、いいよ』
「いーから。」
炎司「すまないな、目が覚めたと聞いたので様子を見に来たんだ。」
『ありがと、エンデヴァーも無事……みたいで良かったよ』
傷跡は大きくなっているし、あんな戦いでは命があったら、とにかく無事だと思えるみたいだ。
炎司「ありがとう。」
『なに、どうしたの突然』
炎司「冷や冬美、夏雄を守ってくれたから、感謝してもしきれない」
『お礼を言うのは、私のほう。
結局みんなを荼毘から遠ざけることは出来なかったし、挙句の果てに戦闘できなくなって、焦凍くんに助けてもらったの』
炎司「焦凍が？そうか、良かった。」
『焦凍くんにもお礼が言いたい』
炎司「医者から許可が降りたら連れて行ってやる。」
『別にエンデヴァーが連れてってくれなくてもいいんだけどな』
炎司「そうか」
いけない、無言になってしまった。
私はそんな元気もなくて、ベッドの上に横たわったままで話している。
『ね、少し真面目な話をしたいから部屋の近くに人いないか見てもらえる？』
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作者名：HAL | 作成日時：2023年12月29日 7時
