アナタは太陽【ヒロアカ】 (ページ36)

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『みんなこっち！！！』

システムは万全で、校長曰く崩壊の対策もしてあると言っていたからすっかり安心してしまっていた。

危機感は持っていたけれど、想定外のトラブルが発生した。

『危ないからっ、そっち行かないで！！！！』

荼毘を確保したと連絡が入ったのがほんの少し前のこと、こっからどんどんヒーロー側に勢いが傾いて勝利を掴めればいいと思っていたんだ。

この避難ボックス内に、ヴィランと通じている人間がいた。

そいつは荼毘の指示でこの避難ボックスを現在地に留めていた。このボックスには炎司くんの家族がいるから

それを予期していたのか、はたまた偶然なのか。

荼毘が身体の内に溜めている熱を放出した場合、私たちのいる場所もきっと更地になるだろう。

『待って！！！冷さんッ！』

緊急ハッチから民間人をボックス外に出し、外から避難をすることになった。

目の届く範囲に荼毘が、エンデヴァーがいる。

『いか、ないでっ！！！』

彼女を止めるために腕を掴んでも、服を掴んでもまるでビクともしない。火事場の馬鹿力とはこのことなのだろう。

『ちょっと、夏雄くんっ！冬美ちゃん！！！待って！！！！』

避難者を他のプロヒーローに任せて、私は彼女たちを追い掛けて火中へと向かった。

近付くにつれて、前に進む脚が重たくなる。

生憎私の身体が耐えられるのは熱さではなく寒さ。

片脚の義足は、荼毘と炎司くんの発する熱でどんどん溶けていった。

『みんな、ッ、こっから離れて！！！一歩でも遠くへ！！！』

脚が溶け始めたのを見て、私は振り返り轟に背を向けた。

他の人たちを助けて、被害を最小限に。

顔も熱い、腕も。それに、義足と脚の境目が熱された金属に直で当てられているような感覚で、熱さというよりも今にも叫び出しそうな痛みしかなかった。

それでも私はアイドルでヒーローだから、絶対に弱気な顔を見せる訳にはいかない。

『ッ、………大丈夫！！！』

「水野サン、脚ッ…！」

『黙ってて、今は避難が最優先。
炎司くんの痛みに比べれば、こんなものっ』

『早く走って！荼毘の所にはエンデヴァーがいるから、大丈夫だから。彼を信じてッ！！！』

そういう風にしか促せない自分が情けなくなって、彼の今まで積み上げてきたものにひたすら感謝した。

『ロボに乗ったらもう大丈夫、安全なとこに運ぶから。いいね。』

最後の一人を雄英ロボに乗せたのを確認して、私はそれを見送りもう一度振り返って轟家の方を見た。