アナタは太陽【ヒロアカ】 (ページ32)

今日:1 hit、昨日:33 hit、合計:12,448 hit

32 ページ32

『げ、電話……』

生配信を終了してもお疲れ様でした！なんてコメントが溢れる動画のコメント欄をニヤニヤしながら見守っていたら、なんとエンデヴァーから電話が掛かってきたのだ。

『もしもし』

「ああいうのは、いつもやっているのか？」

『ああいうの？生配信のこと？』

「そうだ」

『うん。今日は久しぶりだったんだけどこんなご時世になってなるべくやるようにはしてるよ。
もし私のことを支えにしてくれる人が1人でもいるのなら、私はその人のアイドルになりたいから』

「そうか」

『いきなり電話なんてびっくりしちゃったよ。
さっき分かれたばっかでしょ？それに配信も見てたなんて言うし』

「通知が来ていたからタップしたらそのまま開いたんだ。」

『え、なに。チャンネル登録してくれてるの…？』

「あぁ、登録はした。」

詳しく聞いてみれば、ホークスにやり方を聞いてアカウントを作りわたしのチャンネルを登録してくれたのだという。

『ありがとね』

「礼を言うのは俺の方だ。」

『そう？あ、そろそろ洗濯終わるから切るね。』

「あぁ、突然すまなかった。また3日後に。」

『うん、またね。』

終話ボタンをタップする音だけが静かな部屋に谺するような感覚だった。

変な気持ちだ、ほんの数ヶ月前はこんなに炎司くんと話ができるだなんて、まるで夢にも思っていなかった。

『けどさぁ、私が護衛するのって……きっとあの人の家族がいるブロックだよね。』

私ではない、私が居たいと願っていたその場所にいる人を、私は命を懸けて守れるのだろうか。

結局単純な私は彼から熱い眼差しで宜しく頼む、だなんて言われたら断れずに絆されて易々と命をかけるに決まっている。

何十年も蓋をしていた思いは、そう簡単に忘れられるものでも隠せるものでもなかった。

自分が思っていた以上に、私は彼のことをとても愛していた。

『はぁ〜〜〜寝よ寝よ！』

洗濯物があるなんて嘘、家にあるのは乾燥までしてくれる優れものなんだから。

『決戦、戦い。わたしたちの、日常……』

『全部守って、また、前みたいに笑いながら友達と話して、今度は、炎司くんの話とかして』

『は、はッ……やっぱり、やっぱり私まだ大好きだよ……20年とちょっとじゃ忘れられるわけないじゃん……！』

どうして私、あの人と別れてしまったんだろう。

今ではそれもよく思い出せなくて、自分で自分のことがどんどん嫌になっていく。