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『言いたいこと、あるんだけど……』
「何だ？」
『あ、閃いた。炎司くんここ立ってて、そーそこ』
「あ？」
『好きです。』
「………」
『なーんちゃって！ど？ビックリした？』
「……は？」
全然答えてくれないから、寂しいけれど無かったことにしてしまおう。今ならまだ間にあうよね
『告白、してみたかったんだよね〜〜緊張するね〜ぎゃ！』
「なんちゃって、だと？」
なんだか不機嫌な声色と共に顔を掴まれ、無理矢理目を合わせられる。わ、凄く怖い顔。炎出てる。
その表情は、なんとなく出会った頃のときを思い出させるようだった。
『は、ははは〜不機嫌ですか？いたいいたいいたい！！！』
「正直に答えろ、お前は俺の事をどう思ってるんだ」
『力ゆるめてください正直に言うから、ね？おねがい！』
「……フン」
若干力が緩まったものの誤差、まだほっぺが潰れてますが。文句は言えないから、観念して正直に答えようと思う。
自分史上最高に変な顔してるけど、そんな私の顔を見下ろす炎司くんの顔は、不思議と優しく見えた。
『私は、炎司くんのこと好きだよ。さっきも言ったでしょ』
「どう好きなんだ？」
『え』
「好きにも、色々種類があるだろ」
『まあ、あるけど……』
「水野は俺のことをどう好きなんだ？」
『ず、ずるい！！！』
『あーーー！大好きだよ！ラブの方向で、すっごく好き！！
でさぁ、炎司くんは私のことを、どういう方向で、どう思ってるの！』
こうなればヤケクソだ、顔はきっと真っ赤。
この顔の熱は私のせいかはたまた炎司くんの個性の熱さなのか、それはまだ分からない。
が、私が聞き返したところで炎司くんが顔を逸らした。
『こっち向いてよ、ねぇ、私ちゃんと言ったじゃん…』
腕を目いっぱい伸ばして、私も炎司くんにされていることをやり返す。両手で頬を包む形になってしまうがなんとか目は合いそうだ。
『炎司くん』
「……」
『じゃあ、聞き方変えるね。
私、炎司くんのことがとても好きで、一緒に出かけてバイバイしたばかりなのにすぐ会いたくなったり、電話番号交換したときはたくさん電話したい、声聞きたい、お話したいって思ったり、もちろん恋人同士になりたいとも思ってるんだけど。
………炎司くんは、そういう相手が私では嫌ですか』
言ってて恥ずかしくなってきた、文化祭マジックてことで、浮かれてるってことで。ああなんだか、頭パンクしそう。
好きな人に好きって言うのって、こんなに難しかったんだな。
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作者名：HAL | 作成日時：2023年12月29日 7時
