アナタは太陽【ヒロアカ】 (ページ2)

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体育祭が終わり、夏のあたたかさを感じる季節になった。

ジメジメした夏の暑さと焦げるような隣席の男

『炎司くんあのさ、勉強教えてくんない？』

轟「断る」

『おーねーがーいーー！ねえ！ほらこの通り！』

毎日毎日隣の席い座る轟に話しかけて、冷たい態度を取られている1人の女の子。

彼女はそんな冷たい態度を取られても、嫌な顔なんかひとつもしなかった。

それは、彼が不器用なことを知っているから。

『入試も中間も期末前の小テストも、1位でしょ？』

轟「だったら何なんだ」

『だから教えてください！』

轟「お前も悪い成績では無いだろ？」

『でも最近難しいんだよ、ほら放課後とかさ！
あ、今行きたいカフェあんだよね、付き合ってくんない？』

轟「………いつだ」

炎司くん攻略のコツ、知ってる？

彼はね、しつこくしつこく頼み込むと応えてくれるんだよ

『やった！じゃ今週の土曜は？』

轟「分かった」

『よっしゃ！』

その頃には既に、轟と1番仲の良い人間と言えば、水野Aの名前を挙げる人が多いだろうと言うぐらい2人が話しているのは日常茶飯事だったのだという。

『場所あたしが決めてい？』

轟「あぁ、構わん」

『ありがと、メールすんね！』

当時の轟と連絡先を交換している数少ない人間の1人だったという。

『ん〜どこにしよっかな〜〜〜』

「あーわかった、轟くんでしょ！」

『ん？そうそう！』

「良くあの人と仲良くできるね、尊敬……」

『えぇ、なんで？』

「だって纏ってる雰囲気怖いし、いっつも燃えてない？」

このときから既に、轟の表情が1番和らぐのが水野Aの隣にいるときだということを知っていたのは、一体どれくらいいたのだろうか。

『っは！いっつも燃えてるって！！！笑い、止まんな…！』

「だって、いっつも燃えてるじゃんか！！」

水野には仲の良い友人が何人もいて、その中にもやはり一定数は轟炎司に健気に話しかける姿を心配する声が上がっていた。

「また噂んなってたんだよ？
Aちゃん、今日も轟くんに話しかけてるとか、轟くんの態度冷たすぎない？とか！」

『炎司くん冷たいかなぁ？
今週末勉強教えてもらうけど、ね？全然優しいでしょ？』

「それ、Aちゃんだけだからね？」

寡黙で無口で秀才、それに個性の関係でいっつも燃えている、なんてイメージを持たれている轟。

しかしそれは傍から見た印象に過ぎず、実際に話してみると意外にも優しく真摯に対応してくれる人なのだ。

そんな彼の姿を、まだみんなは知らない。