アナタは太陽【ヒロアカ】 (ページ1)

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雄英高校ヒーロー科。

これはたった一年と少しの間に起こった、悲しくて優しいお話

「諸君、ヒーロー科へようこそ。
君たちにはこれから一人前のヒーローになる為の色々を学んでもらう」

当たり障りのない、良く言うようなセリフが担任から吐き出された。

『きーみ、名前なんて言うの？』

「……ん？」

『だーかーらー、なまえ！個性は炎系？』

先生が話に熱中しているのは無視して、1人の少女は隣の席の男子に声を掛けた。

「轟だ。轟炎司」

『エンジくん、かっこいーねぇ！私は水野！
水野Aっていいます！』

「そうか」

名前を言い相槌を打つと、スグにまた前を向いてしまった。

『あ！私のことはAって呼んでいーからねー！』

「呼ばん」

『なんでよ！』

「逆に何故…？」

『え？だって友達でしょ？今自己紹介したし』

「そういうものか？」

『そう、そういうもの！』

「そうか」

そう呟くと、轟はまた視線を教壇に戻した。

『あーほらまた前向いた！』

「何なんだ」

『お話しよ？』

「しない」

『しようよ〜せっかく隣の席なんだよ！？』

「お前と話をする意味が分からん」

『個性や名前、目指しているもの、好きなこと嫌いなもの、得意なことや苦手なこと！
コミュニケーションを取ることで親交を深めて行ったら、この先もお互いに手を組めるでしょ？
あ、一緒に事務所作るなんてどう？』

「言い分は分かった、が事務所は作らん。」

『ケチ！』

軽く頬を膨らますフリをする彼女は、轟に比べるとだいぶ小柄で弱そうに見えたせいで心配になるような第一印象だったという。

ただそんな彼女が言う通り、コミュニケーション能力が高い性格も由来してか体育祭が始まる頃には同じ科の人間は大体友達だと言っていた。

『炎司くーん！特訓しよ！』

「意味あるか」

『あるもん！私の個性は水を操るけど、炎司くんたち炎系の個性とは相性悪いから、対策したいの！

それに、炎司くんが私の知ってる炎系の個性の持ち主でいちばん強いんだもん！

ね？！おねがーい！！』

「特訓は構わん。」

『やったぁ！！！』

彼女は強かった。

華奢な体からは考えられないように重たい一撃が繰り出される。きっとそれには彼女の個性も関係しているだろう。

単純な腕相撲なんかでは余裕で勝利できるが、個性を使わない対人訓練だとかなり優秀な轟が危機感を覚える程には強いのだと言う。

『なんてったって、体育祭はメダルもらったもんね！』

それが、彼女の口癖だった。