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『……ひとりで、いい?』

霊安室と書かれた部屋の扉の前で、私は千冬たちにそう告げた。


松野「分かった、ここで待ってる。
ゆっくりでいいから、ずっと待ってるから。絶対に戻って来いよ。」

千冬は私が自死を選ぶと思っているのだろうか、真っ直ぐな視線でこちらを貫く。

『ん』




ガラガラ

『敦、いや、なんかちがうなぁ……』

彼の遺体はスグそこなのに、顔にかかった布を取るのが怖くて、1歩を踏み出すのが億劫だ。

『……あっくん、』

ようやく彼が寝ている台の横に立ち、震える手で布を取り去った。そこには恋焦がれていた想像の中の彼と同じ顔をした人が、いた。

ようやく会えた。

それなのに、まるで夢の中にいるみたいだ。


『これさ、ドッキリだったり…しないかな、実は全部が全部蘭さんとか竜胆さんとかの手の込んだイタズラでさ……また笑って、あたしの名前を呼んでくれないかな…?』


返事が来ないことなんてとっくに頭では理解してた。

でも、やっぱり呼びかけたらまた"なんだよ!"って笑ってくれるみたいな気がしたの。


『ねえ、痛かったよね。
あんなにボロボロんなって、商売道具も使い物にならなくなっちゃってさ……』

『日向のことも、全部全部、私とこの子を守るためにしてくれたんだよね。分かってる、それは許されることじゃあないって。
でも、それでも私は貴方のやったことから目を逸らさない。』

『子どもの名前、どうしよっかね?
あっくんが言ってた名前、実はとっても気に入っちゃったんだ』



『……パパになるんだよ、あっくん。』


「………」

私の話しかける声に鼻をすする音、涙の雫が落ちる音だけがこの空間に響いていた。

『やっぱりやだよぉ、一緒にいたいよ!!!先に逝くなんて、やだっ、いやだ!!!』

『あっくん、いっつも私のこと好きって、大好きだよって、いってくれるのに、私全然言えてないっ
私も大好きだよ、愛してるよ……だから、もう1回でいいから、あっくんの目ぇみて言いたいよ……』




『愛してるって、言ってよ』


肌に触れると、驚いてしまう程度には冷たくなっていた。
衣服はもうまとっていないし脈もない、それに彼の横たわっている台は金属製でこの部屋の温度だって涼しいぐらいだから、彼の肌が冷たいのなんて容易に理解できる。

でもさ、それを認めてしまったらもう、死を受け入れられなくなりそうなんだ。



『でもいかなきゃ、わたし。
もうすぐあなたとの子どもの、親になるから。』

『本当に愛してるの、私だって負けないよ。』






『ねえ、あっくん。
私のそばにいてくれて……沢山の幸せを分けてくれてありがとう。』

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(プロフ) - ぼほほさん» たくさんのコメントありがとうございます〜!!あっくんはきっと一途で真っ直ぐな男の子なのでこんな結末になってごめんの気持ちですがそう言って貰えて嬉しいです!!!!ありがとうございます!!!!!!! (11月15日 22時) (レス) id: dd7884e58b (このIDを非表示/違反報告)
ぼほほ(プロフ) - (続きです)文章の間隔とかが私的に読みやすい間隔でぐんぐん読めました!これからも頑張ってください! (11月15日 15時) (レス) id: 8104d71460 (このIDを非表示/違反報告)
ぼほほ(プロフ) - はじめまして!今まで陰ながら応援していました。『実らない恋』お疲れ様です。最高でした…。敦くんとの夢小説は初めて読みましたが、ハマってしまいました………HALさんの一途な敦くん完全に惚れました😭(長くて入らないので次行きます) (11月15日 15時) (レス) @page49 id: 8104d71460 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:HAL | 作成日時:2023年10月17日 4時

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