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半間「Aちゃん、大丈夫?」
結局、修二くんの隠れ家があるという場所までこっそりと向かうことになった。
家から出てはまずその隠れ家と反対方向に何キロか車で進んで、電車に乗り駅からまた徒歩で少し歩いた後にタクシーで近くまで進んだ。
なんとも、面倒くさい移動だった。
半間「流石に、ここまで来れば大丈夫かな。」
途中に家に寄って、最低限必要な荷物を持てと言われた。
妊娠中にどうしてもこれは欲しいってものはいくつかあって、それを纏めてカバンに詰め込んだ。
あとは、思い出の品をいくつか。
『(昔使ってた携帯、確かに引き出しにしまっといたんだけどなぁ)』
半間「Aちゃん。」
『うん?』
半間「見せて、指」
『ん?これでいい?』
言われた通りに手を彼の肩の高さまで持ち上げた。
半間「違ぇ、指輪」
『あっ……うん。』
何だかんだ彼と会わなくなった当時には少なからず彼に向かう気持ちがあったわけで、サヨナラを言わないまま10年以上が経過したせいで変な心地だ。
半間「ン、似合ってる。」
『あ、りがと……』
半間「見ねえ間に、こんなに綺麗になっちまって………」
なんて、嘘みたいな愛おしそうな瞳で私の髪を耳にかけるの。
『……ねぇ、どうして私と敦を助けてくれようとしたの?』
けれど私はやっぱり狡いから、それに気付かないふりをして気になっていたことを聞く。
半間「アイツに、守ってくれって頼まれたんだよね」
『アイツ?』
半間「Aちゃんのダンナサマ」
『敦が?それまた、どうして……』
12年前はあんなに嫌っていて、話す時もガンをつけてばっかりだったのに。
半間「懐かしい番号から電話かかって来てさ、出たらダンナサマだったわけ。
そんで今狙われてそうだってこと聞いて、Aちゃんのこと守って欲しい、って。」
『でも…どして場所わかって……』
半間「千堂敦は今、Aちゃんの昔の携帯持ってる。
簡単に言っちゃうとそれの位置情報をな、探した。」
『てことはさ、修二くんは私も敦のことも助けてくれた…ってこと?』
半間「一度はな。」
『じゃあなんで、敦は今ここにいなくて……そのっ、切断…された指が送られて来たワケ?』
半間「アイツな、俺があの場に助けに入ったときにはもう既に逃げらんないようにされてみたいだった。」
『な、なんで…』
半間「アキレス腱、切られてたよ。両足とも。」
『これ以上、聞きたくないよ……』
半間「知ってる。けどさ、Aちゃんは聞かなきゃ。」
『敦に、会いたいよ……』
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晴(プロフ) - ぼほほさん» たくさんのコメントありがとうございます〜!!あっくんはきっと一途で真っ直ぐな男の子なのでこんな結末になってごめんの気持ちですがそう言って貰えて嬉しいです!!!!ありがとうございます!!!!!!! (11月15日 22時) (レス) id: dd7884e58b (このIDを非表示/違反報告)
ぼほほ(プロフ) - (続きです)文章の間隔とかが私的に読みやすい間隔でぐんぐん読めました!これからも頑張ってください! (11月15日 15時) (レス) id: 8104d71460 (このIDを非表示/違反報告)
ぼほほ(プロフ) - はじめまして!今まで陰ながら応援していました。『実らない恋』お疲れ様です。最高でした…。敦くんとの夢小説は初めて読みましたが、ハマってしまいました………HALさんの一途な敦くん完全に惚れました😭(長くて入らないので次行きます) (11月15日 15時) (レス) @page49 id: 8104d71460 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:HAL | 作成日時:2023年10月17日 4時