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『敦、敦っ!!!!しっかりして、ねえ!』
「チッ。動くなよ…」
目の前に広がる光景と言えば、とにかく"血"の一文字。
彼は目隠しをされて後ろ手に縛られ、着ていたワイシャツの色が赤なのかと見間違うぐらいに血を流していた。
頭から流れる血液は特に酷くて、もうボロボロの貴方は見たくないなんて言ったけれど、今までのどんな時よりも悲惨だった。
「ダメだよAちゃん、コイツ今多分聞こえてないから。」
『目隠し、取ってください…お願いします』
「取るの?いーの、取っても?」
『は、はい…お願いします、取ってください…!』
「へぇ、Aちゃんってそういうシュミだったんだなぁ、意外」
『敦、返事して、お願い!!』
もう一人の手によって目隠しが取られ、片目は腫れて潰れた敦の顔面が露わになった。
『あつし、やだ……』
千堂「は、ハハ……うそだろ、幻覚まで………」
『幻覚じゃない、そんなんじゃないよ』
「そーだぜ、千堂敦。これは夢みてえなキレーなもんじゃねえ」
パーカーを被った男がフードを取り、そこからは兄とそっくりの顔面が現れた
「まあ、そんな夢見ちゃうのも分かるわ。
どうせ俺が出ていってからも兄貴の拷問受け続けてたんだろ?」
「こんなん拷問のウチに入らねえよ、ただ遊んでただけだ。」
『は……え、?』
「あれ、もしかして気付いて無かった?」
『うそだ…』
「A、?」
段々とハマっていくピースが、ひとつの答えに繋がっていく。
視線の先の敦はその彼の言葉で現状をようやく理解できたようで、私を見るなり絶望を孕んだ表情を見せた後に鋭い殺意を含んだ瞳で男たちのことを睨みつけた。
「Aには…手ェ出さねえって言ってたろ」
「その約束を俺らが守ると思ってたのか?」
「ふ、ざけんな…ッ!」
『い"っ、?!』
敦の文句に答えるかのように、男は私の両手首を後ろにひとまとめにして、そのままうつ伏せの状態になるように硬いソファへと押し付ける。
「そんなこと言って良かったのか、なぁ?!」
千堂「がッ…!」
まるでこの場所には似つかない薄らとした笑みで、私の最愛の人を力の限り殴る男がいた。
敦はついに血の塊を吐き出した、しかしまだ止めて欲しいと懇願を続けていた。
『ねぇ……あ、あなた蘭さんですよね…もうやめてください、それ以上は、おねがい』
「それ以上は、何?」
『死んじゃう、敦がっ…!』
「うん、殺す気だけど。」
『なんでもするから、もう、やめてよ……蘭さん』
「竜胆」
「ん」
『い、たいッ……』
「俺、そういう趣味がある訳じゃないけどちょっと興味はあったんだよね。」
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晴(プロフ) - ぼほほさん» たくさんのコメントありがとうございます〜!!あっくんはきっと一途で真っ直ぐな男の子なのでこんな結末になってごめんの気持ちですがそう言って貰えて嬉しいです!!!!ありがとうございます!!!!!!! (11月15日 22時) (レス) id: dd7884e58b (このIDを非表示/違反報告)
ぼほほ(プロフ) - (続きです)文章の間隔とかが私的に読みやすい間隔でぐんぐん読めました!これからも頑張ってください! (11月15日 15時) (レス) id: 8104d71460 (このIDを非表示/違反報告)
ぼほほ(プロフ) - はじめまして!今まで陰ながら応援していました。『実らない恋』お疲れ様です。最高でした…。敦くんとの夢小説は初めて読みましたが、ハマってしまいました………HALさんの一途な敦くん完全に惚れました😭(長くて入らないので次行きます) (11月15日 15時) (レス) @page49 id: 8104d71460 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:HAL | 作成日時:2023年10月17日 4時