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千堂「あ、おい!荷物は持たなくていいって!!!」
『えぇ、いいじゃんこんぐらい……』
私の妊娠がわかってから、敦はより一層過保護になってしまった。
それはまあ有難いことでもあったけど、やっぱりこんなに、自分が子どもなのかと錯覚するぐらい身の回りの世話をされてはたまらない。
『まだ初期も良いとこなんだよ?
見た目も変わんないし、少しは荷物もったりして体動かさないと鈍っちゃう』
代わりに運転はお願いするから、ってことで今日は納得してくれた。
しかしこれから先、さらにお腹が大きくなったりかなり酷い体調不良が出てきたりした暁にはもうなぁんにも口を出させてくれなくなるだろう。
「今日も特に異常はありません、また次回今度は2週間後にまた来てください。
今日は母子手帳の発行もありますので、旦那さんもご一緒にね」
『分かりました、ありがとうございます』
千堂「2週間後か……また間隔空くんだな」
待合室で名前をもう一度呼ばれるまで雑談をしていた。
そうやって過ごす時間がとても好きで、大体2週間に1度ある定期検診で他愛のないことを話していた。
よく使う病院の自販機に新しい飲み物が入っていたとか、今日は敦の美容室に誰が来たとか、晩御飯はこれが食べたいとか。
最近は、子どもの性別や子どもが産まれたらやりたいことをたくさん話していた。
『うーん、男の子であっても不良にはなって欲しくないかな』
千堂「えぇ、リーゼントもダメ?」
『それは本人の自由。』
千堂「やったぜ!」
今から仕込む気満々だという様子が手に取るように分かった。
「千堂さーん、千堂Aさーん」
『……(同じ名前の人だ、めずらし)』
千堂「A?呼ばれたぞ?」
『あっ、私か!』
それと、これは結構"あるある"な悩みなのかもしれないけど、未だに旧姓の三輪で呼ばれないことに慣れない。
普段は名前で呼ばれることがどちらかと言うと多いから余り気になりはしていなかったけど、こういう公的機関に来るとなんとなく一歩出遅れてしまう。
『未だに慣れないんだ、千堂さんって呼ばれるの』
職場の人(主に上司)からはオイとかお前みたいな三人称で呼ばれることが多かったし、会う人といったら昔からの知り合いばかりだ。
私のことを今更苗字で呼ぶ人が少ないのが悪いよね
千堂「これから慣れるよ、きっとな」
『私も、そう思う』
変な話ではあるけれど、母子手帳に書かれた千堂Aという名前に、また結婚したのだと改めて感じるのだ。
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晴(プロフ) - ぼほほさん» たくさんのコメントありがとうございます〜!!あっくんはきっと一途で真っ直ぐな男の子なのでこんな結末になってごめんの気持ちですがそう言って貰えて嬉しいです!!!!ありがとうございます!!!!!!! (11月15日 22時) (レス) id: dd7884e58b (このIDを非表示/違反報告)
ぼほほ(プロフ) - (続きです)文章の間隔とかが私的に読みやすい間隔でぐんぐん読めました!これからも頑張ってください! (11月15日 15時) (レス) id: 8104d71460 (このIDを非表示/違反報告)
ぼほほ(プロフ) - はじめまして!今まで陰ながら応援していました。『実らない恋』お疲れ様です。最高でした…。敦くんとの夢小説は初めて読みましたが、ハマってしまいました………HALさんの一途な敦くん完全に惚れました😭(長くて入らないので次行きます) (11月15日 15時) (レス) @page49 id: 8104d71460 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:HAL | 作成日時:2023年10月17日 4時