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晩御飯を食べると言ってから2時間後、テーブルには美味そうな料理が並んでた。
『わ、おいしいね』
千堂「ホントだ！あ、でもこれとか具がはみ出てるな」
彼女と一緒に作った餃子、今まで食べたどんな飯より美味しいと思ってしまった。
俺はそこまで料理ができる訳でもないしそのひとつひとつの形はお世辞にも綺麗とはいえないが、俺にとっては最高の料理だった。
そして今はひとりぼーっとしてる。
というのも、Aが風呂に入っているのだ。俺は先に風呂を借りて、今は髪を乾かしながらAを待ち、さっきも言った通りぼけっとしてる。
だから嫌でも、考えてしまう。
相手が半間ではなく"自分だったら"と
「流石に、キモイよなぁ……」
でも溢れてくる気持ちは嘘ではなくて、彼女を好きである以上そういうことをそんな相手としたいと思うのは至って普通、だと思う。
『ふぅ、気持ちよかった〜！』
「あ、おい髪ビショビショじゃんか！」
風呂から上がってきた彼女は、それはもう無防備だった。
たとえそれが好きなひとではなくても少し前かがみになってしまうような、そんな抜けてる感じ。
『えー、だってメンドクサイんだもん。
ほっといたら乾くよ』
「せっかく綺麗な髪なのに、傷んじゃうだろ。
ドライヤー使っていい？乾かすから座ってて」
『へへ、やりぃ〜〜！』
彼女の綺麗な髪を乾かしながら、少しだけ優越感に浸っている。
現在最大のライバルは恐らく半間、そいつならこのぐらいはしてるだろうが今は俺が。そんな邪な考えが頭に浮かんではどこかへ飛んでいく。
『ねーあっくん、さっきからくすぐったいんだけど…』
「……うん」
『いきなりどーしたの、肩と首触られるの苦手なんだけど…』
少し恥ずかしそうにする姿が、どうしようも無く好きだ。
「Aはさ、」
『ん？』
「もし、相手が俺だったら…半間と同じようにした？」
『何よいきなり。』
一瞬戸惑った様子を見せたくせに、スグいつもの調子に戻ってしまった。
以前噛み跡があった場所を指でなぞれば、くすぐったさからか彼女は少し肩を揺らす。
「俺、Aのこと好き。」
『…………』
「すっごい好きなんだよ」
情けない声、俺から出てる？マジで？
「もしもの話だよ、俺がAのそばにいてずっと苦しい思いとか辛い気持ちを受け止めてたら、Aは俺にも同じようにした？」
狡い聞き方、Aがなんて答えるのかなんて分かってるのに。
『……どう、だろ。』
けどおまえは優しいから、それを隠すんだ。
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作者名：HAL | 作成日時：2023年7月8日 22時
