実らない恋 4 (ページ9)

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千堂「………Aはさ、」

何かを言い渋っているような、そんな雰囲気。

『なあに、あっくん。』

千堂「半間のこと、好きなの？」

タクヤ「えっ、それ今聞く…？」

千堂「だ、だってよ！
確かに何度も助けられたとはいえ、アイツに殺されかけて…あン時は首に痣まで作って、傷も付けられた訳じゃん。」

『……たしかに。』

千堂「……だから、聞きたい」

『うーん、難しいことを聞くねぇ』

本気でそう思っていたからただ口に出したのに、目の前のふたりはポカンとしてる。

タクヤ「え、好きなの……？」

『しょーじき、分からないって答えるのが一番合ってるかも。』

千堂「わ…わからない？」

『修二くんのことは勿論好きなの。前にも言ったよね、確か。
助けて貰った恩もあるし、それ以上に私の苦しみや辛さを全部受け止めてくれたから。

だから、好きとか嫌いとかのものさしには当てはめられない。』

「「………」」

『なんか暗くなるの嫌なんだけど！？
ほらもう遅いし、ご飯食べてく……？』

タクヤ「……俺は今日晩御飯食べるって言ってるから帰るよ、あっくん食べてけば？ひとりじゃ準備大変だろうし」

千堂「……そうしようかな、Aいい？」

『ん？もちろんいーよ！』

そうして、私とあっくんは2人きりになってしまった。

タクヤは上手く気を回したつもりだろうが私はすんごく気まずいし、ご飯の準備も今さら大変とか無いんだよってツッコミながら玄関の前まで見送った。

『さあご飯は何を食べましょうか！』

千堂「これから作るのか？」

『うん、そう。
あっくん食べたいものあったら早めに教えてね？』

千堂「特に、無いかな。
俺も手伝うからAの食べたいもの作ろうぜ！」

少し考えた素振りを見せてそんなことを言う。

しかし不思議と、そのセリフがかつて修二くんに言われたものと重なってしまった。

"「Aちゃんが楽なやつでいーよ」"

『(そういえば、あっくんも昔っからずっと私のこと守ってくれてたな。)』

あーあ、何だか変な感じ。

もしも8月3日に倒れた私を見つけていたのが修二くんではなくて目の前にいるあっくんなら

もしも私が振られたあの雪の日に出会っていたのが、あっくんだったら。

私は、修二くんにしたのと同じようにあっくんのことを誘い、そのまま体を許してたんだろうか。

『……ないだろうなぁ』

千堂「何が？」

『ん、なんでもない。』

てか、私が誘ったとしてもあっくんなら「そういうのはダメだ」って言いそうだもんなぁ

容易に想像できるし、ね。