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『……これは、あっくんの思ってる通り。
ヘアアイロンの火傷なんかじゃない、です。』
千堂「……彼氏出来たの。」
『どう思う?あだ、』
ちょっとでもふざけようと思ったら、隣のタクヤから容赦ない手刀が飛んでくる。痛い。
タクヤ「俺、しっかりAの口から聞きたいって言ったよね。」
『…ハイ。』
千堂「彼氏じゃねえんだろ、分かる。」
『うん、彼氏ではない』
千堂「だから、半間かと思った。
前にそうだって、Aが言ってくれたから。」
『うん、言ったね。』
タクヤ「最近は、半間と会ってないって言ってたよね。」
『言った、ね。』
千堂「違うのか、?」
たしかに最近修二くんとは会ってないって言ってるからそうなるよね。
『………』
タクヤ「分かった、ごめん。
AにはAの事情があるだろうし、誰かは聞かない。」
千堂「タクヤ……」
タクヤ「でもこれだけは嘘じゃなくて本当のこと教えて。
Aはそれで、嫌じゃない?」
『嫌じゃ、ないか……私が、?』
タクヤ「そう、Aがそうやって色んな関係を持ってる今が、嫌じゃないか。
そういうマーキングされるのだって、少なからず気に入られていたり束縛したい気持ちがあるからだ。
無理にそういう関係を強いられてるんなら俺たちはAをそういうのから守りたいし、何か力になれることもあるはずだよ。」
『……私は、嫌じゃないよ』
千堂「嫌じゃなかったら、そんな顔するわけねえよA。
俺ら何年の付き合いだと思ってんだ」
本当に、嫌な訳では無いんだ。どう言ったら納得してくれるだろう。
けど2人になら、いっそ全部吐き出せるかも。
『嫌じゃ、ないの。本当だよ。
修二くんだって、最初に誘ったのは私なの。
でもね、修二くん優しいからいっつも私に許可取ってくれたし、嫌々されたことはないの。
私が記憶を無くして芭琉覇羅に入るときにね、修二くんは私を守る騎士だって言ってくれたから、それからずっと私が勝手に重ねて、やさしい気持ちを利用してるの。』
『だから私が嫌だって思ったことは、一度もないよ。』
タクヤ「……そっか」
千堂「お前が嫌じゃないんなら、俺はいいよ。
けどさ、そんなに深い関係だったんなら尚更半間に首締められてたのが納得いかない。」
『それは私が、稀咲くんのいうことに納得出来ずに手を出したからだよ。』
「稀咲の言うこと?」
『……うん。稀咲くんを殴ったのはまず、エマを巻き込んだから。そしたらその一発の分をね、武道に撃ち込んで来いって言ったの。
断ったから修二くんにも手を出された。それだけだよ。』
あぁ、酷い顔。そんな顔するなら聞かないでよ。
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作者名:HAL | 作成日時:2023年7月8日 22時