実らない恋 4 (ページ38)

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千堂「……今は1番じゃなくてもいい。」

『え？』

千堂「これから先、一生Aの傍にいたい。
今一番じゃなくてもいいから、だから、恋人として、絶対に振り向かせるから、」

今まででも、初めて見るぐらいの必死そうで、それに加えて寂しそうな顔だった。

千堂「……俺は、ずっとAのことを一番に見てたから、まだ好きな人がいて忘れられないのも知ってる。

けど、それでいいよ。」

『…………いったん持ち帰るのは、ナシ？』

千堂「持ち帰ったら半間の意見入るからナシ」

『ご、5分ちょーだい！！！』

その間にも何発か花火が上がっていて、変に心臓がドクドク脈打っているのを感じていた。

千堂「5分な、分かった。」

どうしよう、どうしようっ！！！！

あっくん、付き合う……私とあっくんが恋人？
全然考えらんない、変じゃないかなそんなの……

でも、断るのも…………だよね。

けど待って、私が彼と付き合うことが出来ない理由って、なんだろう。

あっくんは、私が付き合ってもいない男の人と関係を持っていることを知っている。

それとは別に、思いを寄せる相手がいることも。

以前話題にも上がった通り、体の関係を持っている人が(意図せず)複数いることだって、きっと分かっているはずだ。

あれ？

あっくんは、全部知ってるんじゃん。

そこまで分かっているのに、こんなに不誠実な私のことをまだ好きだと言ってくれる彼の気持ちを、これ以上無下にすることなんて出来なくないか？

『…………』

千堂「5分、経ったけど。聞かせてくれるか。」

『うん』

千堂「Aの気持ちが最優先だからな。」

『うん、わかってる。』

千堂「A、オレと付き合ってください。」

『こちらこそ、こんな私で良いのなら。』

今度は、完璧なタイミングで花火が打ち上がった。

千堂「マジで、いーの。」

『うん』

千堂「俺、Aのこと、本気で好きだよ」

『時間をかけて、ゆっくり振り向かせてくれるんでしょ？
あっくんがかっこいいことは私知ってるんだからね。』

千堂「やっぱ無しとか、言わないでくれよ。」

かっこ悪いはずのそのナヨナヨした雰囲気も、今は不思議ととても心地よいのだ。

今だけかな、どうしてだろう。

『言わない、私はそんなこと言わないよ。』

こんなに私のことを想い続けてくれていて、それで私が辛い時にはずっと寄り添おうとしてくれた。

私が手を取ったのがたまたま修二くんだった、ってだけで彼もいつも守ろうとしてくれていたんだ