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一通り腹を満たしたあと、持ち場に戻ったタケミチや日向たちを見送り、残ったのは私とあっくんの2人きりだった。
千冬も仕事こそないけれど、見たいクラスがあるからと八戒に引きずられていった。
『あっくん、仕事もうないの？』
千堂「あぁ、無いよ。」
『そっか』
千堂「なぁ、後夜祭の花火……一緒に見ない？」
『花火？あー、やるって言ってたね打ち上げ花火。
私はみんなと一緒に見るつもりだったけど、』
私は思っていたことを伝えると、ちょっとだけ言いにくそうに否定した。
千堂「そうじゃなくて2人で、さ。前みたいに一緒に見たいんだ。」
前、っていうのは……中学の時か。
『そうだったか、いいよ。見よ！』
千堂「ありがと」
『千冬たちにはテキトー言っておこうね』
そんな感じで文化祭を楽しんでは、昨日のように終了時刻を知らせるアナウンスがあった。
『屋上、久しぶりに来たかも……』
千堂「マジ？」
『でもここまで上がってくるかな、花火？』
千堂「まあ、上がってこなかったら見下ろすってことで！」
"いつものように"笑う何気ない時間がとても愛しくて、校舎の下の方でこれから花火が上がるという声が聞こえてきた。
『そろそろかな』
千堂「………だな」
隣同士に座って、少しでも手を伸ばせば届く距離、というか、もう彼の指先が私の手に触れている。
ドキドキ鳴っている胸の音に緊張して顔を合わせないように、わざと気付かないふりをしてた。
「A、好きだ。」
『ぇ、』
ﾄﾞｫﾝ !!!!!
すっかり気が抜けてて、忘れていたこと。
彼が私に、好意を寄せている。それを直接言われてもう容赦しないからな！！なんて言われたのに、私はまたこうして自分で気付かないうちに酷いことをしていたのだ。
彼からの告白で大きな花火は見逃し、耳が赤くて恥ずかしそうなあっくんのことを真っ直ぐ見つめてしまった。
『な、に……いきなり。』
千堂「……ほんとごめん。俺、いつまでも待つって言ったけど、やっぱり待ちたくない。」
『そう、だよね………ごめん、私こそ、』
千堂「今日昼に灰谷蘭と会ってただろ」
『な……な、んで』
ハッキリと言い当てられた、今日のお昼の出来事。
千堂「空き教室、あそこの向かいもこの期間は立ち入り禁止区域だから。
この高校って、コの字型の校舎だから、そっから丸見えだろ？」
『………そうだったか。』
千堂「俺、やっぱりAが他のやつにやられるのも、泣かされるのも、嫌だ。
命をかけて、俺が絶対にAのことを守るよ、だからオレと付き合って。」
その時の彼は今までで1番寂しそうで、それでいてカッコ良かった。
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作者名：HAL | 作成日時：2023年7月8日 22時
