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『ごめ〜ん、お待たせ!』
自分たちの出番を終えた私たちは、ほかのクラスが出店している場所を回るべく合流した。
千堂「服、そのまんまなのかよ!」
『えー?だって可愛いんだもん!』
最後に着ていたウエディングドレスを模したワンピース、これが結構可愛くて劇が終わったあともこれを着て過ごしている。
千堂「確かに、可愛いっつうか綺麗だけどさ」
松野「まあ手芸部の奴ら総出だったし、いい出来ではあるよな」
山本「まずどこいく?
えっと〜、タケミチと八戒のクラスは……お化け屋敷だって!」
『いいね!』
松野「お化け屋敷かぁ、いいな。行こうぜ!」
そうして満場一致で初めの目的地は武道、八戒のクラスのやっているお化け屋敷になった。
お化け屋敷って言っても、教室を暗くして迷路を作って、生徒たちが脅かすよくあるやつだろうし。
松野「な、なんか……」
山本「ちょっとレベル高いかもな」
『入んのやめない……?』
そう、それは私たちが渋ってしまうほど。
千堂「はぁ?ここまで来て?
何言ってんだよどうせ後で山岸とマコトが来たら強制連行だぜ、先行っちまおう」
『ま、まま、まって!!!』
千堂「ん?」
『……こわい、から…みんなで固まって行こう!』
あっくんを先頭にして4人でひとかたまりになる。
入る時に暗めに光る懐中電灯を渡され、私はそれを持つあっくんにしがみついていた。
千堂「ほんっとーに怖ぇの?」
『うん、なんか……ちょっとヤなこと思い出す』
というのも、このお化け屋敷の作りにあった。
このお化け屋敷の設定というのが、心霊スポットである神社にお参りにいって、御札を取って無事戻ってこれたら……というもの。
神社らしい小さな鳥居がちょうど中間地点にあり、それからゴールまでの道が少し葉が生い茂っていて足元も踏み心地の悪いものだった。
今となってははるか昔のような気もするけど、この状況は私の心には深い傷を作っているその出来事を思い出さざるを得なかった。
松野「……この感じ、ちょっと武蔵神社に似てね?」
『やっぱ、千冬もそう思う…?』
何となく感じる嫌な雰囲気、後ろにあるような人の気配。
「そうだよ」
気配じゃない、いる。それもかなり長身の人。
「「『ぎゃああああ!!!』」」
あっくんが慌てて上の方を照らすと、頭の辺りに見慣れた剃りこみを発見した。
「は、…八戒か?」
『……』
「あ!おいA意識ねえよ!!!」
「こんなとこ早く出んぞ!!!」
その後は、猛ダッシュでゴールまで向かったのだとか。
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作者名:HAL | 作成日時:2023年7月8日 22時